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M&Aニュース

                                               2010年03月02日
 




 最初連結親法人事業年度開始日の合併による
   青色欠損金を否認
     
 
     

      東京地裁 連結事業年度開始の日前に行われていた合併と認めず


 
 連結納税制度の適用に際し、最初連結親法人事業年度の開始の日に連結親法人が行った適格合併で、被合併法人にあった未処理欠損金額が連結欠損金額にみなされるか否かが争点となった訴訟で、東京地裁は課税当局の更生処分を認める判決を行った(平成21年11月27日判決言渡 平成20年(行ウ)第704合)。
 これは、連結親法人の最初の連結事業年度の開始の日を合併期日として行った適格合併に際し、被合併法人の青色欠損金額が、連結親法人の連結事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた連結欠損金額とみなされるとして、連結所得金額の計算において損金の額に算入した納税者に対して、課税当局がその算入を否認したために、その更生処分を不服として提起された事案。
 東京地裁民事第3部の八木一洋裁判長は、事案において問題になった連結親法人の最初の事業年度の開始の日と同日に行われた合併は、法法81条の9第2項第1号の規定にいう最初連結親法人事業年度の開始の日より「前」に行われていたとはいい難いとして、被合併法人の青色欠損金額を連結事業年度における連結欠損金額とみなすことはできないと判示している。


◆ 最初連結親法人事業年度開始の日に行われた適格合併


 事案において問題となったのは、連結親法人の最初の連結事業年度の開始の日を合併期日として行われた適格合併に際し、被合併法人の青色欠損金額が、連結親法人の連結事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた連結欠損金に該当し、連結親法人のみなし連結欠損金額に該当するか否か。
 判決では、法人税は連結納税制度の適用の開始に際して、連結納税の承認の効力が発生して最初の連結事業年度が開始する前の単体としての事業年度において生じた欠損金額については、原則として連結欠損金額に当たらないものとして、連結納税の下で繰越控除することを認めず、一定の場合に限り連結欠損金額とみなすこととしていると整理。
 その例外の場合の一つとして法法81条の9第2項1号は、最初の連結事業年度開始の日前7年以内に開始した、その連結親法人の事業年度において生じた法法57条1項に限定する欠損金額がある場合には、その欠損金額については、連結欠損金額とみなすこととしているとした。
 そして連結親法人となる内国法人が適格合併をした場合において、その適格合併において被合併法人にあった未処理欠損金額が法法81条の9第2項第1号の規定により、その連結親法人の連結事業年度における連結欠損金額とみなされるためには、最初の連結事業年度開始の日よりも前に適格合併が行われて、法法57条2項に規定によりその連結親法人の欠損金額とみなされていたことを要するというべきとした。


◆ 合併が連結事業年度開始の日より「前」に行われていたのかを検討


 事案においては、連結親法人の最初の連結親法人としての事業年度開始の日と、その連結親法人が行った合併契約における合併期日とされた日が、歴上同日とされているが、判決ではこの点について、合併が連結事業年度開始の日よりも「前」に行われていたのかを検討している。
 まず、法人税法上の規定においては、連結納税の承認申請に係る内国法人が、連結事業年度の開始の日に合併を行った場合、合併の効力の発生の方が、連結納税の承認の効力の発生にyほる最初の連結親法人の事業年度の開始よりも先行すると解すべき規定は見当たらないとした。
 そして、事案において問題になった連結親法人の最初の事業年度の開始の日と同日に行われた合併は、法法81条の9第2項第1号の規定にいう最初の連結親法人の事業年度の連結事業年度の開始の日「前」に行われていたとはいい難いと判断。
 そのうえで、連結おや法人の最初の連結事業年度の開始の日を合併期日として行われた適格合併にかかる被合併法人の青色欠損金額は、連結親法人の連結事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた連結欠損金とみなすことはできないとし、課税当局の更生処分を適法と判示している。




(以上参考;週刊「税務通信」第3101号)
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