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M&Aニュース

                                               2010年03月16日
 




 DES対象債権の税務上の時価 
         文書回答で評価方法等を整理
 
 
       
     

    合理的に見積もられた回収可能価額を基に計算することに

 
 

 DES(デット・エクイティ・スワップ)実施時におけるDES対象債権の”税務上の時価”の明確化を図るため、経産省はその評価方法の案を公表するなどの作業を行ってきたが、国税庁はこのほど、企業再生税制の適用対象となる一定の私的整理等でDESを実施する場合に限って、一定の要件の下、@債権者側のDES対象債権の”税務上の時価”は再生企業の「合理的に見積もられた回収可能額」を基に算定し、A債権者側で交付される株式の取得価額も、債務者側で算出したDES対象債権の”税務上の時価”となるなどと整理した。経営者への文書回答で明らかにした。


◆ 債務者側 DES対象債権の時価は回収可能価額を基に算定


 文書回答では、債務者側のDES対象債権(現物出資債権)の”税務上の時価”は、法人税法施行令大8条第1項第1号で規定する「給付を受けた金銭以外の資産の価額」とすると整理した。この「給付を受けた金銭以外の資産の価額」については「合理的に見積もられた回収可能価額」に基づき評価する。
 「合理的に見積もられた回収可能価額」とは、経済産業省の文書照会の下地となった『事業再生に係るDES研究会報告書』や文書回答によれば、一般的には、@一定の私的整理(私的整理ガイドライン、RCC、中小企業再生支援協議会、事業再生ADR、企業再生支援機構の関与する私的整理等)でそれぞれ定める資産評定基準に従って合理的な再建計画を策定し、A実態貸借対照表を作成した上で、Bこれをベースに債権者調整等を行った後に決定するもの。
 単純な債務免除の場合には、この回収可能価額を用いることにより「債権額−回収可能価額=回収不能部分」の算式で債務免除額(=回収不能部分)を決定するが、DESを行う場合はこれと異なり、「債権額−回収可能価額=回収不能部分」と計算した上で、このうち回収可能価額分をベースにDESを行う。つまり、一般的には回収可能価額分を「取引債権」(買掛金、未払金など)と「金融債権」をDES対象債権とするわけだ。結果、DES対象債権の額面金額と税務上の時価との間に差額がある場合には、その差額を債務消滅益として計上する。


◆ 債権者側 交付株式の取得価額も「給付を受けた金銭以外の資産の価額」に


 一方、債権者側においても、DES実施時の交付株式の税務上の取得価額は、法人税法施行令第8条第1項第1号で規定する「給付を受けた金銭以外の資産の価額」とすると整理した。DES対象債権の税務上の時価は、債権者側・債務者側ともに一致するということだ。
 税法上は、DES実施時に債権者が交付される株式の取得価額は「給付をした金銭以外の資産の価額の合計額」としているが(法令119@二)、債務者側の処理と整合性を図る観点等から、債務者側のDES対象債権の税務上の時価「給付を受けた金銭以外の資産の価額」(法令8@一)は、債権者側の株式取得価額「給付をした金銭以外の資産の価額の合計額」(法令119@二)となると整理した。結果、債権者側においてDES対象債権の額面金額と交付株式の税務上の時価との間に差額がある場合には、その差額は寄附金とはされず、債権譲渡損として計上することが認められる。





(以上参考;週刊「税務通信」第3104号)
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