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M&Aニュース

                                               2010年03月24日
 




  平成22年1月から上場株式等の配当所得と
    譲渡損失の損益通算
 
 
       
     

    配当基準日までに源泉徴収選択口座に関する一定の手続きが必要

 
  

 平成20年度税制改正により、22年1月以後は金融商品取引業者等で保管されている特定口座のうち源泉徴収選択口座(源泉徴収ありの特定口座)では国内上場株式等に係る配当所得が計算対象となり、上場株式等に係る譲渡損失との損益通算が可能となる点はご承知のとおりだ。
 21年分以後の所得税の確定申告では上場株式等に係る配当所得について申告分離課税を選んだ上で上場株式等の譲渡損失と損益通算できるが、22年分以後において源泉徴収選択口座無いで損益通算を済ませる場合には、金融商品取引業者等に対し上場株式配当等受領委託契約を締結するなど一定の手続きが必要だ、22年3月期決算企業では、期末配当の配当基準日が迫っているだけに、まだ所定の手続きを行っていない場合は金融商品取引業者等へ確認しておきたい。


◆22年分は源泉徴収選択口座で損益通算


 20年度税制改正により源泉徴収選択口座で取扱うことができる取引の範囲に「平成22年1月1日以後に締結される上場株式配当等受領委任契約に基づく取引」が追加され、上場株式等に係る配当等の受入れが可能となった。これにより、22年以後に源泉徴収選択口座内に上場株式等に係る譲渡損失の金額があるとき、納付すべき所得税額は、その年中の上場株式等に係る配当等のうち源泉徴収選択口座で受け入れた配当等の総額との間で損益通算した残額に対し源泉徴収税率を乗じて計算した金額となる(措法37の11の6E)。
 つまり、22年分から源泉徴収選択口座内にある上場株式等に係る配当等と譲渡損失の損益通算が可能となる。上場株式等に係る譲渡損失と譲渡益の損益通算は売却取引のつど行われるが、譲渡損失と配当等の損益通算については年末にまとめて1回行われる。


◆ 配当等受入開始届出書など提出


 金融商品取引業者等における具体的な源泉徴収選択口座の開設については、原則として最初の譲渡のときまでだが、上場株式等の配当等を受け入れるならば、支払確定日前までに金融商品取引業者等の間で@源泉徴収選択口座を開設A上場株式配当等受領委任契約を締結B源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書の提出を行うこととなろう(措法37の11の3〜37の11の6等)。通常は証券会社をはじめ金融商品取引業者間等で解説の申し込みの際に同時に行うが、平成21年12月末までに源泉徴収選択口座を開設している場合は、新たに上記Aの上場配当等受領委任契約を結んでおく必要がある。


◆ 受取方法は株式数比例配分方式に


 さらに、保有する上場株式等の配当基準日までに配当金の受取方法について「株式数比例配分方式」を先てくする必要がある。この株式数比例配分方式とは、上場株式等の配当金を配当基準日現在の株式数に応じて証券会社等を通じて受け取る仕組みをいう。国内公募株式投資信託等の収益分配金のみを受け取る場合は不要だが、証券会社等の実務上、上場株式等に係る配当を受け取る場合には選択する必要がある。ただし、同方式を選んだ場合は、保有する国内上場株式等の配当金等をすべて同方式で受け取ることとなり、銘柄ごとには選択できない点に留意されたい。
 仮に保有する上場株式等の一部を株券電子化に伴い信託銀行等の「特別口座」に預けている場合は株式数比例配分方式を選択できない。そのような場合には、源泉徴収選択口座内で上場株式等の配当等と譲渡損失の損益通算ができないようだが、証券会社等の一般口座に振り替えることにyほり、確定申告で損益通算を行うこととなる。


◆ 譲渡損失を繰越す場合は確定申告


 前述のとおり、22年分以後は確定申告をおこなわなくても、源泉徴収選択口座内での損益通算ができるようになる。ただし、譲渡損失を翌年以後3年間繰越す場合や、他の証券会社等で保有する源泉徴収選択口座における上場株式等の配当等や譲渡損益と損益通算する場合等は、源泉徴収選択口座であっても、確定申告を行う必要があるので留意されたい。




(以上参考;週刊「税務通信」第3105号)
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