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M&Aニュース

                                               2010年03月25日
 




  期限切れ欠損金の利用 清算年度”各期”で
        実質債務超過が要件に
 
 
       
     

  含みのある土地等を継続保有する場合 実質債務超過とされないことも

 
  

 平成22年度税制改正では、清算所得税の廃止に伴い、期限切れ欠損金の利用範囲を拡大する予定だが、この改正は、解散しさえすれば単純に期限切れ欠損金を利用できるというものではない点に留意が必要だ。
 期限切れ欠損金を利用するためには、一定の要件の下、解散時に限らず、それ以降の清算事業年度それぞれにおいて実態貸借対照表等の上で債務超過であること(=「残余財産がないと見込まれるとき」に該当すること)を前提とする見込みのため(法法59B(案))、例えば、@含み益のある土地を清算中に売却できず、残余財産確定時まで保有し続けているような場合、清算中、常に債務超過とはならないのであれば期限切れ欠損金を利用することはできず、Aまた、土地の地価が清算中に頻繁に変動するような場合、仮に地価の下落により債務超過となるのであれば、その年度では期限切れ欠損金を利用できるが、逆に地価の上昇により資産超過となるのであれば、その年度では期限切れ欠損金を利用できなくなるようなことも考えられるからだ。


@ 解散以後の保有資産が含み益のある土地Aの場合


 例えば、3月決算法人Xが22年12月31日に解散し(これ以後3年経過した後に残余財産が確定。保有資産は土地Aのみ。負債額は160のまま一定。)、その法人の貸借対照表が帳簿価額ベースでは50(=資産100−負債150)の債務超過であったとする。
 しかし、X社の資産・負債を時価評価し直したところ、実態貸借対照表上、唯一の資産である土地Aの時価が200であった場合、清算事業年度1年目、2年目、3年目いずれにおいても、50(=資産200−負債150)の資産超過となる。このため、いずれの清算事業年度も実質的に債務超過しておらず、法律(案)上の適用要件である「残余財産がないと見込まれるとき」には該当しないこととなるので、この例では清算事業年度1年目、2年目、3ねんemいずれにおいても期限切れ欠損金を利用することはできない。清算中に債務免除益等が生じたとしても、これと相殺することができるのは青色繰越欠損金等だけということだ(法法57)。


A 解散以後の保有資産が土地Bのみで、その地価が大幅変動する場合


平成20年度税制改正により、22年1月以後は金融商品取引業者等で保管されている特定口座のうち源泉徴収選択口座(源泉徴収ありの特定口座)では国内上場株式等に係る配当所得が計算対象となり、上場株式等に係る譲渡損失との損益通算が可能となる点はご承知のとおりだ。
 21年分以後の所得税の確定申告では上場株式等に係る配当所得について申告分離課税を選んだ上で上場株式等の譲渡損失と損益通算できるが、22年分以後において源泉徴収選択口座無いで損益通算を済ませる場合には、金融商品取引業者等に対し上場株式配当等受領委託契約を締結するなど一定の手続きが必要だ、22年3月期決算企業では、期末配当の配当基準日が迫っているだけに、まだ所定の手続きを行っていない場合は金融商品取引業者等へ確認しておきたい。


◆22年分は源泉徴収選択口座で損益通算


 また、3月決算法人Yが22年12月31日に解散し(これ以後3年経過した後に残余財産が確定。保有資産は土地Bのみ。負債額は100のまま一定。)、その貸借対照表が帳簿価額ベースでは債務超過してないとする。
 しかし、Y社の資産・負債を時価評価し直したところ、実態貸借対照表上、清算事業年度1年目において、唯一の資産である土地Bの時価が60であった場合、40(=資産60−負債100)の債務超過となる。このため、清算事業年度1年目は実質的に債務超過しており、法律(案)上の適用要件である「残余財産がないと見込まれるとき」に該当するので、期限切れ欠損金を利用することができる。清算事業年度2年目において土地Bの時価が80であった倍も同様に、20(=資産80−負債100)の債務超過となり、法律(案)上の適用要件である「残余財産がないと見込まれるとき」に該当するため、期限切れ欠損金を利用できることとなる。
 一方、清算事業年度3年目において土地Bの時価が110となった場合には、10(=資産110−負債100)の資産超過となるため、清算事業年度3年目は実質的に債務超過しておらず、法律(案)上の適用案件である「残余財産がないと見込まれるとき」に該当しないため期限切れ欠損金を利用できない。結果、清算事業年度3年目で債務免除益等が生じた場合、青色繰越欠損金等があればこれを用いることとなる。





(以上参考;週刊「税務通信」第3105号)
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