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M&Aニュース

                                               2010年03月31日
 




  解散における欠損金の利用は青色欠損金・
  期限切れ欠損金の順 
 
       
     

  会社更生法・民事再生法適用時の利用順位は現行と変わらず

 
  

 22年度の改正では清算所得課税の廃止に伴い、22年10月1日以後に解散した場合には、清算事務年度”各期”において実質債務経過であることを前提に、基本的に清算事業年度において期限切れ欠損金の利用を認めるなどの措置を行う予定だが、その利用に際しては、@青色欠損金、A期限切れ欠損金の順となる点に留意されたい。
 一見したところ、法律家では欠損金の利用順位などを特段明確にしていないようにも思えるため、実務家の中には期限切れ欠損金から優先利用できるのではないかと見る向きもあるからだ。しかし、この利用順位については政令ではなく、すでに公表済みの法律(案)で規定する。少し複雑な条文であるが、改めて確認しておく必要があるだろう。


◆ 解散の場合「青色欠損金→期限切れ欠損金」の順で利用


、前述のように、今後解散した場合は、「残余財産がないと見込まれる」ならば、一定の要件の下、期限切れ欠損金を利用できる(法法59B)(案))。解散により債務免除益、私財提供益、資産の評価益、資産の譲渡益等が生じたならば、この期限切れ欠損金を利用することで過大な税負担を回避できるということだ。
 ただし、解散した場合におkる期限切れ欠損金の利用は、あくまでも青色欠損金を利用した”後”となるので注意が必要だろう(次の表Cを参照)。仮に解散した場合に債務免除b益等が100、期限切れ欠損金が50、青色欠損金が60しかないとすると、一定の要件の下、まずは「債務免除等100−青色欠損金60=残りの当期所得40」となり、次に「残りの当期所得40−期限切れ欠損金40=当期所得0」と計算するため、期限切れ欠損金50のうち40は当期で利用できるが、残りの10は当期では使用できない。会社更生や民事再生とは異なり、解散は基本的に事業の継続を目的としていないため、このような扱いとなる予定だ。


◆ 根拠規定は法人税法第59条第3項(案)のカッコ書きに


新たなグループ法人税制が導入され、「完全支配関係」にある法人間の取引にかかる税制について見直しが行われるが、この完全支配関係にある法人間においては、子会社を解散し残余財産が確定した場合、子会社の欠損金を引き継ぐこととする改正や、子会社株式の消滅損はないとする改正が行われるので確認しておきたい。


◆ 欠損金は引継ぎ


 とはいえ、なぜこのような扱いとなるのか疑問に思う向きもあるだろう。一見したところ、法律案には欠損金の利用順位などを特段明確にしていないようにも思えるからだ。
 しかし、この点は、法人税法第59条第3項(案)にある最後のカッコ書きで、
「政令で定めるものに相当する金額(当該相当する金額がこの項・・・を適用しないものとして計算した場合における当該適用年度の所得の金額を超える場合には、その超える部分の金額を控除した金額)は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。」
 と規定している箇所で確認できる(説明を簡略化するため法案は一部省略。災害欠損金等はないもとする)。
 上記法案原文のうち、「政令で定めるものに相当する金額」とは期限切れ欠損金を、その後のカッコ書きの下線部「この項・・・を適用しないものとしt計算した場合における当該適用年度の所得の金額」とは法人税法第59条第3項(案)を適用しない場合の当期所得を示す。つまり、ここでいう当期所得とは、”期限切れ欠損金は利用せず、青色欠損金のみを利用した後の当期所得”を意味するということだ。このため解散の場合には、青色欠損金、期限切れ欠損金の順で欠損金を利用できることとなる。
 民事再生法適用時に「資産の評価損益」が生じないのであれば、欠損金の利用は青色欠損金、期限切れ欠損金の順となるが(法法59A)、解散の場合はこれと同じ扱いになるとも言える。


◆ 法的整理の場合の欠損金の利用順位は現行制度のまま


 逆に、会社更生法等を適用した場合や、民事再生法適用時に「資産の評価損益」が生じる場合は、欠損金の利用は期限切れ欠損金、青色欠損金の順となるが(法法59@A)、この点は22年度税制改正では特段見直す予定はないようだ。

<今後の青色欠損金と期限切れ欠損金の利用順位(予定)>



(以上参考;週刊「税務通信」第3106号)
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