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M&Aニュース

                                               2010年04月16日
 




完全支配関係子会社の株式消滅損の計上が可能
       
     

  

      政令附則で9月30日以前の解散は含まないと規定
           9月30日までなら旧法の適用に 



 平成22年度の改正税法は、3月24日に成立、26日には関係する政省令も閣議決定され、改正政省令は3月31日付の官報に掲載されている。
 平成22年度の税制改正では、資本等取引の見直しに伴い、連結納税制度を改組、新たな税制としてグループ法人税制を創設、また清算所得課税についても見直しが行われるが、完全支配関係にある親子会社間で、子会社が解散した場合に親会社が「子会社の未処理欠損金額を引き継ぐ」ことになる法法57上2項の改正と、「有価証券の譲渡対価を譲渡原価に相当する金額とする」改正の法法61条の2第16項については、子会社の解散が平成22年9月30日迄に行われたのか、10月1日以後に行われたのかによって、その課税上の取扱いが異なることとなるので確認をしておきたい。


◆ 子会社株式の譲渡損益は計上しない


 22年度の税制改正により、完全支配関係にある親子会社間においては、子会社の解散により、その子会社の残余財産が確定した場合に、親会社は子会社の未処理欠損金額を引き継ぐことが可能となる(法法57上2項)
 その一方、完全支配関係にある法人間における有価証券の譲渡損益については、みなし配当が生ずる基因となる事由により、金銭その他の資産の交付を受けた場合、又は、他の内国法人の株式を有しないこととなった場合には、その有価証券の譲渡対価を譲渡原価とみなし、損益を認識することはなくなる(法法61上の2第16項)。
 よって、完全支配関係にある親子会社間で、その子会社が解散した場合に、親会社は解散した子会社の株式消滅損は計上できなくなる。


◆ 10月1日以後の解散から新法適用


 ところで、この完全支配関係にある親子会社間において「子会社の未処理欠損金額の引継ぎ」が可能となる改正は、その子会社の解散が平成22年10月1日以後である場合あkら適用となる(法附則10条2項)
 よって、完全支配関係にある親子会社間において、子会社の解散が平成22年9月30日迄に行われているのであれば、22年度改正前の法律(旧法)が適用されることとなり、親会社は子会社の未処理欠損金を引き継ぐことはできない。


◆ 改正政令附則で規定


 一方、「有価証券の譲渡対価を譲渡原価に相当する金額とする」改正に関連して、完全支配関係にある子会社株式の消滅損の計上については、子会社が平成22年度改正後の法律(新法)の適用を受けることはなく、旧法の適用となり、親会社は子会社株式の消滅に伴う損失を計上できる(法附則21条、令附則13条2項)。
 この改正の適用に関連しては、子会社の解散が平成22年9月30日迄に行われたm、おのの、その残余財産の確定が平成22年10月1日以後となる場合には、旧法の適用となるのか、新法の適用となるのかということを疑問視する向きもあるようだが、子会社の解散が平成22年9がt樹30日迄に行われているのであれば、旧法が適用されることとなり、子会社株式の消滅に伴う損失は計上できる。
 この法法61条の2第16項の規定の適用時期については、改正法附則21条では、平成22年10月1日以後に生ずる事由により、「金銭その他の資産の交付を受けた場合」又は、「当該他の内国法人の株式を有しないこととなった場合」と規定されている。
 しかしながら、「有価証券の譲渡益又はj表と損の益金又は損金算入に関する経過措置にtじゅいて規定している改正政令附則13条2項では、改正法附則21条に規定する事由が残余財産の分配である場合には、改正法附則21条で規定している他の内国法人には、「平成22年9月30日以前に解散しあたものを含まないものとする」と規定している。
 会社法上、「解散」とは解散決議又は解散登記を指していると解されることから、平成22年9月30日迄に子会社が解散決議すれば、完全支配関係にある親会社は、その解散した子会社株式の消滅損を計上することができる。
 この場合に、平成22年9月30日迄に求められるのは、子会社の解散であって残余財産の確定ではない。

 つまり、完全支配関係にある親子会社間の「未処理欠損金額の引継ぎ」が可能となるのか否か、また、「有価証券の譲渡対価を譲渡原価に相当する金額とする」こととなるのか否かについては、子会社の解散が平成22年9月30日までに行われたのか、それとも平成22年10月1日以後に行われたのかによって、区分される。

H22.9.30までの解散 H22.10.1以後の解散
未処理欠損金の引継ぎ 欠損金の引継ぎは不可 欠損金の引継ぎは可能
有価証券の譲渡 譲渡利益額又は譲渡損失額を計上する 譲渡対価を譲渡原価とみなし、譲渡損益を計上しない


法附則21条 有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入に関する経過措置
 10月新法人税法第61条の2第16項の規定は、法人が同項に規定する他の内国法人の平成22年10月1日以後に生ずる同項に規定する事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合又は法人が当該他の内国法人の同日以後に生ずる同項に規定する事由により当該他の内国法人の株式を有しないこととなった場合(同日以後に残余財産の分配を受けないことが確定した場合を含む。)における同条第1項に規定する譲渡利益額又は譲渡損失額について適用する。

政令附則第13条2項 有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入に関する経過措置

 改正法附則第21条(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入に関する経過措置)に規定する事由が残余財産の分配である場合(同条に規定する残余財産の分配を受けないことが確定した場合を含む。)には、同条に規定する他の内国法人には、平成22年9月30日以前に解散したものを含まないとする。





(以上参考;週刊「税務通信」第3109号)
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