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M&Aニュース

                                               2010年04月19日
 




連結納税に関する税効果指針見直しへ
       
     

  

      ASBJ 回収可能性の判定方法など
            



 企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成22年度の税制改正において、整備されることになった「グループ法人税制」に対応し、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱(その1)」等の指針を改正する。主に、繰延税金資産の回収可能性の判定方法などを見直す。ただし、グループ法人税制のうち、連結納税制度に関連する論点のみを検討する予定であり、連結納税に関連しない部分(グループ内取引に関する未実現損益の繰延など)については、日本公認会計氏協会(JICPA)において、「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」等の改正で対応する見込み。


◆ 「連結納税制度」に対応した論点検討


 平成22年度税制改正により導入されたグループ法人税制は、従来の「連結納税制度」と新たに創設される「グループ法人単体課税制度」の2つの制度から成る(適用時期:平成22年4月1日以後開始事業年度)。会計上、税効果会計に影響を与えるため、所要の改正を行う。ただし、税効果会計に関する指針は、JICPAにより作成された指針とASBJにより作成した指針が混在している。そのため、ASBJにおいては、実務対応報告第4,5,7号の改正を行う。同報告は、連結納税制度に関する取扱いであるため、関連しない部分については、JICPAにおいて検討が行われる見通し。


◆ 欠損金の持込制限緩和で回収可能性の判定方法が問題に


 税制改正では、連結納税開始・加入時に子会社が持っていた欠損金の持込制限が緩和された。従来、連結納税の開始時や新たに子会社が連結納税グループに加入した場合は、それまでに認識されていた繰越欠損金は失効する取扱いであった。これが緩和され、5年以上にわたり100&子会社であるときなど一定の要件を満たす会社(特定連結子法人)の繰越欠損金(特定連結欠損金)を、連結納税開始・加入時に引継ぎ、当該会社の個別所得を上限に損金に算入することが認められることとなった。
 当該改正により、税効果会計の適用時における繰延税金資産の回収可能性の判定方法が問題となっている。個別所得を上限にしつつ、連結ベースでの課税所得がある範囲で損金算入が認められるため、個別ベースで回収可能性があると考えらるものであっても、連結ベースではこれを回収する十分な連結所得がない場合が考えられるためだ。
 ASBJでは、「特定連結欠損金の回収可能性の判定にあたっては、実務対応報告第7号Q4(個別財務諸表における回収可能見込額に差額が生じる場合の取扱い)の場合と異なり、連結ベースで回収できない金額は特定連結欠損金の損金算入限度超価額になるため、個別帰属額に影響を与えないことになると考えられる」とし、個別財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判定において、個別ベース、連結ベース両方で判定することを軸に検討を進める。
 また、連結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性判定においても同様に、個別ベース、連結ベース両方で判定することとする。


◆ 実務対応報告第4号は廃止へ


 今回の見直しに伴い、実務対応報告の整理も行う。「連結納税制度を適用する場合の中間財務諸表における税効果会計に関する当面の取扱い」(実務対応報告第4号)については、連結納税制度の適用初年度の前年度における中間財務諸表での取扱いを緊急で定めることを目的に策定されたものであるため、当該報告を廃止し、一部(連結納税の承認の効力発生時点の解釈)を実務対応報告第5号に引き継ぐ。


◆ 22年6月第1四半期から適用へ


 ASBJでは、次回以降の本委員会において、文案審議を行い、4月下旬の本委員會で公開草案の公表議決を行う予定。改正実務対応報告の公表日(6月下旬予定)後終了する事業年度末および四半期会計期間末から適用することが提案されている。







(以上参考;週刊「経営財務」第2961号)
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