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M&Aニュース

                                               2010年05月28日
 





 損益繰延べは譲渡時に完全支配関係があれば適用

            

  グループ法人税制の各制度と完全支配関係を整理

 



  平成22年度改正で導入されたグループ法人税制の適用時期については、22年4月1日開始事業年度と22年10月1日以後の取引の2つに大きく分かれる。したがって、資本金5億円以上の法人の100%子法人に係る中小特例制限のように事業年度単位で適用のある制度については、事業年度末に完全支配関係があれば適用され、譲渡損益調整資産に係る損益繰延べのように取引ごとに適用のある制度については、その時点で当事者である法人間に完全支配関係があれば適用されることになる。ここでは、主な制度の適用時期と完全支配関係との関係を条文の規定等を踏まえ整理してみた。


◆ 中小特例制限は事業年度終了時に完全支配関係があれば適用


 平成22年4月1日以後の開始事業年度に適用される代表例は、グループ法人税制の中小特例制限があろう。資本金5億円以上の親法人の100」%子法人で、資本金1億円以下の場合は軽減税率(法法66等)、特定同族会社の特別税率の不適用(法法67@)、貸倒引当金の法定繰入率(粗法57の10)、交際費の損金不算入制度における定額控除制度(措法61の4)、欠損金の繰戻しによる還付制度(法附則10@等)の5項目が適用されない。
 これら5項目の適用時期については条文上も「事業年度終了の時」「事業年度終了の日」と規定していることから、22年4月1日開始事業年度の場合は23年3月31日に完全支配関係があるかないかで適用の有無が決まる。


◆ 完全支配関係にある課税繰延べ制度は譲渡時点で適用


 一方、22年10月1日以後の取引から適用される税制では、譲渡損益調整資産の課税繰延べ制度(法法61の13)がある。同制度では、法人が10月1日以後に行う譲渡損益調整資産の譲渡について適用するとしており(法法附則22)、税法上では「内国法人がその有する譲渡損益調整資産を他の内国法人(完全支配関係がある・・・)に譲渡した場合・・・・」などのように、完全支配関係にある法人に対する譲渡を対象としている。つまり、譲渡の時点で、完全支配関係があれば適用されることになる。
 ただし、完全支配関係を有しなくなった場合は、譲渡や除却のように譲渡利益額又は譲渡損失額を戻入れる処理を行うこととされている(法法61の13B)。


◆ 法人間の寄附金、受贈益も支出・受領の時点で適用に


 また、グループ法人税制における寄附金、受贈益も同様だ。法人による完全支配関係のある法人間で支出した寄附金については全額損金不算入となり、受贈益については受入法人側で全額益金不算入となった(法法25の2、37)。適用時期については10月1日以後に支出する寄附金の額及び同日以後に受ける受贈益の額としており(法法附則16、18)、税法上の規定ぶりからも10月1日以後の支出・受贈の取引時に完全支配関係があれば適用されることになる。
 他方で、受取配当金の益金不算入制度では、配当等の額の計算期間を通じて完全支配関係を有していることが、負債利子控除なしで全額益金不算入となることの要件とされていることから(法法23D)、適用時期と完全支配関係については必ずしも一概にいえないが、取引時点で適用の有無が決まる多くの事項については、基本的に取引時において完全支配関係を有することが前提となろう。



       (以上参考;週刊「税務通信」第3114号)
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