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M&Aニュース

                                               2010年06月07日
 





10月以降の解散法人 最終事業年度の確定申告期限
           

  
適格現物分配の規定に関係なく残余財産確定の日から
            1月以内 
         

   

  平成22年度税制改正では、清算所得課税の廃止により22年10月1日以後に解散した場合は、清算確定申告に代わり、最終事業年度の確定申告に関する税法上の規定が整備されている(法法74A)。一方、新たに完全支配関係にある内国法人間の適格現物分配(法法2十二の十五)が創設され、残余財産の全部を分配する適格現物分配については政令の規定ぶりなどから「残余財産の確定の日が確定申告期限と同じ日になるのではないか」と不安視する向きもあるようだ。
 しかし、適格現物分配の規定は最終事業年度における清算中の内国法人の確定申告に影響せず、確定申告は条文上の規定どおり残余財産の確定の日から1月以内で、さらに1月以内に最後の分配を行う場合には分配の前日が確定申告期限であることを確認した。


◆ 残余財産確定の日から1月以内に分配する場合は分配前日が期限


 平成22年度改正では清算所得課税の廃止に伴い清算確定申告に関する規定は廃止されるが(旧法法104)、10月j1日以後に解散する清算中の内国法人の最終事業年度については残余財産が確定した日の翌日から1月以内を確定申告期限としている。さらに、残余財産確定の日の翌日から1月以内に最後の分配または引渡しが行われる場合は「行われる日の前日まで」と規定している(法法74Aかっこ書き)。清算中の内国法人の最終事業年度の確定申告期限については従来の清算確定申告における申告期限と同様となっている。


◆ 適格現物分配で残余財産の分配は10月1日以後の解散から適用


 また、平成22年度税制改正では、組織再編税制の一環である完全支配関係の法人間における適格現物分配の規定が創設された。現物分配は剰余金の配当等の事由により株主等に金銭以外の資産を交付することだが、今回の改正では完全支配関係のある内国法人間で剰余金の配当やみなし配当により株主等に金銭以外の資産を交付する現物分配を「適格現物分配」と規定している(法法2十二の十五)。現物分配の直前において100%資本関係にある内国法人間で、平成22年10月1日以後に行われる現物分配から適用となり、残余財産の分配では同日以後の解散によるものから適用となる。
 ここで気になるのが現物分配による資産の譲渡を定めた法人税法62条の5の委任規定だ。その法人税法施行例123条の6第2項では「適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)は、当該残余財産の確定の日の翌日に行われたものとして、法の規定を適用する」としている。
 このため、残余財産の確定の日の翌日から1月以内に最後の分配が行われるケースでは「適格現物分配の前日が残余財産の確定の日に該当することとなり、最終事業年度の申告期限は残余財産の確定の日となるのだろうか」という見方が一部の実務家の間で浮上している。その場合には、残余財産の確定の日と最終事業年度の確定申告期限が重なり、実務上のスケジュールが厳しくなるという懸念もあるようだ。


◆ 適格現物分配の場合も残余財産の確定日でなく分配の前日


 この点について、確認したところ、残余財産の全部分配を行う適格現物分配の規定については、主に金銭以外の資産の分配を行う上での問題に対処したものという。現物分配による資産の譲渡を規定した法人税法62条の5の委任規定であり、損益法による所得の計算期間を定めたものであることなどから確定申告の規定に影響しないことが判明した。
 したがって、今回の適格現物分配の創設に関係なく、清算中の内国法人の最終事業年度における確定申告期限については確定申告を定めた法人税法74条の規定どおりに行うこととなろう。つまり、最終事業年度の確定申告については、残余財産の確定の日から1月以内に行う。さらに確定日の翌日から1月以内に残余財産の分配又は引渡しが行われる場合には、分配又は引渡しの前日までに確定申告を済ませるということだ。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3115号)
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