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M&Aニュース

                                               2010年06月11日
 





        負債のパラドクス
           

  
         

   

  金融負債を金融資産と同様に公正価値(時価)で評価する場合、その会計処理方法を巡って「負債のパラドクス」と呼ばれる問題がある。
 負債のパラドクスとは、負債を保有する企業自身の信用力が低下した場合に、公正価値(時価)で評価すると負債が減少、逆に利益(負債の評価益)が計上されるというもの。
 例えば、企業が社債発行によって資金100(額面100、クーポン5%、期間5年)を調達したとする。調達時の負債額は100だが、その後、業績悪化などによって企業の格付けが下がるとどうなるか。
 債券の一般的な評価方法によれば、この社債の理論価値は次の計算で求められる。

5/(1+r)+(1+r)+5/(1+r)+5/(1+r)+105/(1+r)

 ここで割引率(r)は、リスクフリーレートに企業の信用リスクを加えたもの。割引率が5%のとき、社債の理論価値は額面と同じ100になるが、格付けの悪化が信用リスクを上昇させて割引率が15%になると、同じ社債でも理論価値は約66.5%まで低下する。この減少分である33.5%が評価益として計上される。
「信用低下で債務が減少」や「業績悪化なのに利益発生」といった会計処理をみて「企業の実態にあわない。直感的におかしい」という声は多い。こうした指摘を受けて国際会計基準審議会(IASB)は5月11日、金融負債の測定・分類の会計処理案を当初の案から一部変更した。差額はその他包括利益(OCI)に振り替える方向だ。




       (以上参考;週刊「経営財務」第2967号)
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