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M&Aニュース

                                               2010年06月18日
 





          最頻値と期待値
           
 
       

            

   現行のIAS第37号では、引当金の測定に際し、「最頻値」と「期待値」の併用を認めている。
「最頻値」は、想定される結果のうち最も生起確率が高いもの。「期待値」は、起こり得る全ての結果をそれぞれの生起確率によって加重平均したもの。2つの方法は債務の性質によって使い分ける。すなわち、前者は訴訟債務など単一の債務、後者は製品保証など母集団の大きいものの測定に用いることが適切とされる。
 これに対しIASBでは、債務の性質に関係なく、一律、「期待値」で測定することを提案している。あらゆる可能性を織り込んだ金額(期待値)の方が投資家にとてより適切な情報を提供する、というのが理由。
 しかし「期待値」への一本化には問題もある。例えば、A社は訴訟に関する債務を負っており、期末日現在の見積りでは95%の確率で100万円、5%の確率で10億円の請求があると予想したと仮定する。この場合「最頻値」では、最も生起確率が高い100万円、「期待値」では全てのシナリオを勘案した5,095万円が測定される(0.95×100万円+0.05×10億)。
 この点、現実的には100万円の流出が予想されるにもかかわらず「期待値」では5,095万円が測定され、財務諸表利用者を誤解させる懸念がある。また、そもそも、訴訟債務等では起こり得る結果と確率分布を見積もるのは難しいという問題もある。こうした点を踏まえASBJなどではIASB提案に反対しているが、今後の展開は不透明だ。




       (以上参考;週刊「経営財務」第2968号)
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