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M&Aニュース

                                               2010年07月01日
 





 解散における青色欠損金の引継ぎは形式基準で判断
           
 
       

         出資比率変動の場合は制限措置の適用はなし

 
 22年度改正では、22年10月1日以後に完全支配関係子会社を解散、残余財産確定した場合、原則、親会社は子会社の青色欠損金を引き継げることとなったが、これは残余財産確定日以前の最低5年間に継続して「支配関係」があることを前提とする。
 ところで、この点につき実務家の中には、合弁会社の解散で、出資比率の高い会社が合弁会社を100%子会社化したような場合、税務調査等で出資比率を意図的に操作したのではないかと指摘され、青色欠損金の引継ぎができないこともあるのではないかと見る向きもあるが、実際のところは、上記5年の間にどのような理由で出資比率が変動したとしても、「支配関係」が継続している限り、引継ぎは認められる。


◆ 青色欠損金の引継ぎ場合によっては制限あり


 前述のように22年度税制改正では、22年10月1日以後に完全支配関係子会社を解散し、その残余財産を確定させた場合、その子会社株の消滅損を不算入とする代わりに(法法61の2○16)、原則、その子会社の青色欠損金を引継げるよう措置した(法法57A)。
 ただし、その引継ぎは@残余財産確定日時点で親子会社間に「完全支配関係」gあり、A残余財産確定日以前の最低5年間継続して「支配関係」があることを前提とする(法法57B)。


◆ 合弁会社解散で出資比率変動の場合 引継ぎ可能か懸念も


 ところで実務の場面では、例えば合弁会社の解散に伴って、出資比率の高い会社が、出資比率の低い会社の出資分を買取り、合弁会社を100%子会社化することがある。この点につき実務家の中には、このようなケースでは、場合によっては青色欠損金を引き継げないこともあるのではないかと見る向きもあるようだ。
 つまり、たとえ上記@Aの前提条件をクリアしていても、税務調査等では出資比率の変更事実に着目し、青色欠損金を引継ぐために意図的に出資比率を操作したのではないかなどと見られる可能性もあるのではないかと懸念する者もいるということだ。


◆ 青色欠損金の引継ぎはあくまでも形式基準で判断


 しかし、この点については上記@Aの要件をクリアする限り、青色欠損金の引継ぎは可能で、制限措置の適用もない。この規定の適用要件は形式基準であり、その残余財産確定日以前最低5年の間にどのような理由で趣旨比率が変動したかなどは考慮しない。
 このため、例えば、A社とB社が共同出資により合弁会社Xを立ち上げたものの(出資比率は各60%、40%)、業績悪化によりX社を23年3月31日に残余財産を確定させる場合に(残余財産の分配はないと仮定)、A社がB社の出資分40%をすべて買取り、24年3月期にX社間には「完全支配関係」があり、A24年3月31日以前の5年間に継続して「支配関係」があるため、A社はX社に係る青色欠損金(=未処理欠損金)を全額引き継げる。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3117号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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