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M&Aニュース

                                               2010年07月02日
 





    完全親子会社間取引も寄附金であれば対象
           
 
       

       受贈益の益金不算入・寄附金の損金不算入

 
 寄附金の損金不算入・受贈益の益金不算入規定は、法人による完全支配関係において適用され、親子会社間において支出した寄附も適用される。
 しかし、兄弟会社間とは違って親子会社間では出資の関係があるため、子会社から支出した金銭等が寄附金に該当せず、資本等取引と取り扱われるケースもありうる。
 ただ、寄附金そのものの考え方はかわらないことから、親子会社間で支出した金銭等が出資や配当等となり課税対象とならないのか、損益取引となって寄附金の損金不算入・受贈益の益金不算入となるのかは、従来どおり実態によって判断することになるようだ。


◆ 受贈益と寄附金の範囲は同じ


 22年10月1日から適用となる、寄附金の損金不算入・受贈益の益金不算入規定(以下、同規定)では、法人による完全支配関係がある法人間において支出した寄附が適用される(法法25条の2、37条)。個人にぶらさがっている法人でも、その法人と完全支配関係の法人間で支出した寄附はどう規定の適用がある。
 同規定の受贈益とは、寄附金、拠出金、見舞金等の名義を問わず、金銭や資産の経済的な利益の贈与等を受けた場合の金銭等とされ、実質的に贈与とされる低廉譲渡や高価買入れも含まれる(法法25条の2A)。これは寄附金の範囲と同じである。


◆ 親会社への配当等に該当も


 ところで、企業グループ内の取引で特に多いのが、親会社から子会社への取引であろう。寄附をはじめ、資金の貸付、資産譲渡、子会社支援、経費負担、増資など様々な形態の取引が行われている。
 既報のとおり、今回の寄附金に関する改正は、寄附金の意義等を改正しているわけではなく、損金参入・不算入に関する仕組みを変更したもの。親会社から子会社に対する取引が行われた場合、寄附金に該当するのか、それ以外に該当するのかは、従来と同じように会社の経理処理等の実態で判断していくことになるようだ。例えば、親会社から子会社への無利息貸付の場合、無利息相当分について経済的利益の供与をしたとして寄附金となり、贈与側の親会社で損金不算入、受贈側の子会社で益金不算入となろう。
 逆のケースの、子会社から親会社への取引における寄附金の有無も実態をみて判断することになるようだ。
 ただ、子会社にとって親会社は株主の立場にあるため、税務上、利益配当だけでなく株主等の地位に基づき子会社が親会社に供与した経済的利益は資本等取引として扱われることとされている(法基通1−5−4)。このため、経済的利益が生じる場合、それが寄附なのか、それとも資本等取引なのかを確認する必要があるといえよう。
 例えば、子会社簿外資産の金銭等を親会社に供与した場合は従来から配当等と扱われているようだが、親会社の棚卸資産を高価買入れしていて、実質的に贈与と認められる部分は寄附金とされていたものは、今後も寄附金と扱われることになろう。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3117号)
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