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M&Aニュース

                                               2010年07月06日
 





  寄附金の損金参入・受贈益の益金不算入の影響
           
     親会社で利益積立金額と子会社株価を
            修正することに      

         
           子会社における寄附の状況の把握が必須


 
 
 
 法人による完全支配関係のある法人間で、寄附金の損金不算入と受贈益の益金不算入の適用があった場合、寄附金の支出側人では財産が減少し、受領側法人では財産が増加することになる。その結果、寄附の支出側法人、受領側法人ともに株式の価値が変動する。
 そこで22年度改正では、寄附金の損金不算入と受贈益の益金不算入の適用に関して、当該子会社の親会社において、株価の修正と利益積立金額の修正を行う規定を定めている。
 このことから、株主である親会社は、寄附の相手先や金額等を的確に把握しておく必要があろう。


◆ 子会社株等の修正は寄附修正事由と定義



 法人による完全支配関係のある法人間で、10月1日以後に寄附金を支出した場合、寄附の支出側の法人で寄附金の損金不算入が適用され、受領側の法人で受贈益の益金不算入が適用される(法法25条の2、37条)。費用が損金不算入となり、収入が益金不算入となることから、支出側も受領側も寄附金の支出により、所得が変動する事はない。
 所得の移転は起きていないものの、利益の移転が起きていることから、寄附による恩恵を受けた受領側法人では株式の価値が上昇し、支出側の法人では株式の価値が下落することになる。したがって、寄附金を支出・受領した子会社株式を譲渡した場合、従前よりも多くの譲渡損、譲渡益が計上されてしまう。このことから、税制上、受贈益の益金不算入、寄附金の損金不算入の適用について「寄附修正事由」と規定し、寄附修正事由が生じた場合には、株主である親会社において利益積立金額と所有する子会社株式の帳簿価額を修正することを定めている(法令9条@七、119条の3E)。


◆ 寄附の支出側は減算・受領側は加算


 まず、利益積立金額の修正では、子会社が寄附の受領側である場合、@の額を利益積立金額に加算することになり、一方、子会社が寄附の支出側である場合、Aの額を利益積立金から減算する。また、その子会社が受贈益の益金不算入と寄附金の損金不算入、両方の適用がある場合には、@の額からAの額を減算した額を利益積立金額に加算することになる(法令9条@七)。

●寄附金を受けた子会社株式を所有している場合:以下の額を加算
 @ 受贈益の額×持分割合
●寄附金を支出した子会社株式を所有している場合:以下の額を減算
 A 寄附金の額×持分割合
●寄附金の受領と支出の両方があった子会社株式を所有している場合:以下の額を加算
 B @の額−Aの額

※持分割合=子会社株式の所有数/発行済株式総数


◆ 加算・減算額は持分割合で按分


 さらに、株価の修正では、寄附修正事由が生じた時に上記の@からBで計算した額を、直前の帳簿価額に加算(減算)することと定めている(法令119条の3E)。
 例えば、図のようなグループ企業において、「子1」から「孫2」に200の寄附が行われて寄附修正事由が生じたケースがあるとする。
 この場合、寄附金の支出側である「子1」の株主「親法人」と、寄附金の受領側である「孫2」の株主「子2」が寄附修正事由により、所有する株価と利益積立金額の修正を行うことになる。
 また、「孫2」は寄附金の受領法人であるが、益金不算入となる受贈益の額がある場合、その額は利益積立金額の加算項目となっている(法令9条@一ニ)。したがって、企業グループの受贈益の益金不算入と寄附金の損金不算入による利益積立金額などの修正は次のようになる。
 親法人の処理
 寄附修正事由による修正額(減算):200(=寄附金200×「子1」株の持分割合100%)
 (1)親法人の利益積立金額から200を減少
 (2)「子1」株の帳簿価額から200を減少

 子1の処理
 寄附修正事由による修正額:0
 ただし、寄附金200が損金不算入に

 子2の処理
 寄附修正事由による修正額(加算):200(=受贈益200×「孫2」株の持分割合100%)
 (1)子2の利益積立金額に200を加算
 (2)「孫2」株の帳簿価額に200を加算

 孫1の処理
 寄附修正事由による修正額:0(損金不算入額も0)」

 孫2の処理
 寄附修正事由による修正額:0
 ただし、受贈益200が益金不算入になるため、孫2の利益積立金額に200を加算








       (以上参考;週刊「税務通信」第3119号)
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