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M&Aニュース

                                               2010年07月08日
 





        法人格の存続と租税債務
           
 
  

   
 


 
 
  平成22年度税制改正で、22年10月1日以後に解散した法人について、清算所得課税が廃止となるが、私法上の清算に関する手続きなどに変更はなく、従前どおり清算結了することで法人格は消滅することとなる。
 株式会社は設立登記をすることで成立し、法人各が生じることとなる(会社法49)。一方、清算をする株式会社は”清算が結了するまではなお存続するものとみなす”とされているため(会社法476)、清算結了となる株主総会で決算報告の承認を受けた日をもって法人格は事実上消滅することとなる。
 つまり、清算結了したら清算結了登記をする必要はあるが、清算結了登記自体には法人格を消滅させる効力はなく、あくまでも第三者に清算の事実を公示する効力があるに過ぎないということだ。
 清算は債務を弁済して残余財産があればそれを分配して結了となるわけで、たとえ決算報告が承認され決算結了登記をしたからといっても、その法人が履行すべき債務が残っていれば、清算が結了したとはいえない。よって、租税債務があればその財産につき弁済が終了するまでなお法人格は存続しているものとされる(法基通1−1−7)。
 また、「清算が結了したかどうかは事実問題で、清算結了登記の有無のみで法人格の喪失か否かを判断できない。納税義務の履行も含めて全ての資産を処分し、全ての負債を支払い、残余財産を株主に分配し終わったときに清算が結了するため、たとえ清算結了の登記がされても、法人税の徴収手続きがその財産につき完全に終了するまでは清算は結了しない」と解されている(神戸地裁昭和61年(行ウ)第13号)。つまり、清算結了登記をしたとしても、租税債務を履行する義務が消えたことにはならないわけだ。
 なお、法人が租税債務を履行せずに残余財産の分配をしたときは、清算人や残余財産の分配を受けた者に第二次納税義務が生じることがあり、その財産の価額を上限に弁済することとなる(徴法34@)。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3119号)
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