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M&Aニュース

                                               2010年07月14日
 





 国税庁 21年度改正に係る
         法人税基本通達趣旨説明を公表
               
 
  

    外国子会社配当益金不算入の米国LLCの対応を明記


 
 
 国税庁は6月25日、平成21年度改正に係る法人税基本通達等に係る趣旨説明を公表した(平成21年12月28日付課法2−5ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明)。
 外国子会社配当益金不算入制度では、米国LLCからの利益の分配の対応、共通費用・共通利子と益金不算入となる5%の額などのほか、資産の評価損益や、先行取得土地等の圧縮記帳制度に関する取扱いに対して解説している。


◆ 米国LLCの構成員に課す外国法人税は外税控除等の対象外


 外国子会社配当益金不算入制度(法法23条の2)では、適用を受ける配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は損金不算入となり、この外国源泉税等には内国法人に帰される外国法人税も含まれる(法法39条の2)。通達では外国子会社所在地国でパススルー課税を適用する事業体で、日本で外国法人に該当する所得に関して、事業体の構成員である内国法人のものとして計算される金額に対する外国法人税が含まれるとされた(法基通9−5−5)。
 この取扱いに対して解説では、具体例として米国LLCを挙げている。米国LLCは税務上外国法人と扱われ、構成員が受ける利益の分配は外国子会社配当益金不算入制度の対象となることを明記している。したがって、米国LLCの構成員に課される外国源泉税等の額も該当することを示している。
 また上記での事業体の構成員に係る外国法人税の額については、外国税額控除の対象外と扱われるが(法基通16−3−36)、この取扱いについても米国LLCの構成員に係る外国法人税が外国税額控除の対象外となることを明らかにしている。


◆ 国外所得金額の計算に係る共通費用・共通利子


 外国税額控除に係る国外所得金額の算出において、外国子会社配当益金不算入制度の適用となる配当等のうち益金不算入となる95%部分の額に対する負債利子や販売費等の費用は、共通利子・共通費用の額には含めないで行うこととされている(法基通16−3−12、16−3−13)。解説では残りの5%は益金算入することになるが、この5%の額に対する負債利子や費用は共通利子・共通費用に含めることを留意的に示している。


◆ 外国源泉税等の額を課されたことの書類の趣旨


 外国子会社配当益金不算入制度では、適用要件として配当等の額に係る外国源泉税等が課されたことを証明する書類を保存する必要があり(法23条の2A、法規8条の5三)、該当する書類について取扱いで示されている(法基通3−3−4)。書類の保存を求める趣旨について、同制度の適用となる配当等の額は外国源泉税等が控除された後の額であるため、外国源泉税等が明らかでないと、配当等の額が明らかにならない問題があるため、書類保存を要件としていると説明している。


◆ 法的整理の事実と金銭債権評価損の対応


 資産の評価損について金銭債権が対象となったものの、物損等の事実や法的整理の事実が生じた場合、金銭債権に対する評価損はできないこととされている(法基通9−1−3の2)。物損等の事実では、法令の規定で評価損の範囲が限定列挙されていて、金銭債権は列挙されていないことから、評価損できないことは明らかと解説している。一方、法的整理の事実では、会社法と企業会計において金銭債権の含み損は貸倒引当金で処理することから、税務上も貸倒引当金の規定で損金算入されることを示している。
 さらに、解説では、法的整理の事実が生じた場合、資産を金銭債権も含めて一括評価し、「事業再生関連損失」等で特別損失を計上するケースも触れている。貸倒引当金の損金参入制度は、金銭債権の評価勘定として引当金が計上される会計慣行となっていることから、損金経理した場合に貸倒引当金の繰入による損金算入を認めている。法的整理の事実での金銭債権の減額処理は、回収可能性や経済的価値に基づく時価で帳簿価額を切り下げるという金銭債権の評価を行っていることから、特別損失による計上も貸倒引当金の繰入額として扱って差し支えないことを示している。


◆ 評価差額少額資産の定額基準の判定時期も解説


 このほか評価損に関して、新設の「法的整理の事実」の例示の取扱い(法基通9−1−3の3)で、従前の取扱い(旧法基通9−1−5(2)、9−1−16(2)と内容は同様であることを紹介しているほか、産業活力再生特別措置法の規定に基づく評定も法的整理の事実に該当することを明らかにしている。また、民事再生法の規定による再生計画認可決定等があった場合、評価損益の計上の対象外となる基準の定額基準は、借入金等の額が10億円未満であれば1,000万円から100万円と引き下がるが(法令24条の2C、68条の2B)、「借入金等の額」は再生計画認可決定の事実が生じた時の直前における額であることを示した取扱いは、留意的に明らかにしたものと解説している(法基通4−1−9)。


◆ 先行取得土地等の制度では留意的な取扱いを示す


 先行取得土地等の圧縮記帳制度(粗法66条の2)では、平成21年先行取得分と平成22年先行取得分の両方の先行取得土地等がある場合、譲渡益の平成21年取得分の圧縮率80%を適用する取扱いがある(措通66の2(2)−3)。同取扱いの注書きで、前年度までに平成21年先行取得分の圧縮損を適用した結果、適用を受ける先行取得土地等が平成22年先行取得分のみとなった場合、適用は平成22年先行取得分に係る圧縮率60%となるとしている。解説では、物理的に平成21年先行取得分があったとしても、圧縮損を適用して既に平成21年先行取得分の帳簿価額が0である場合には、平成22年先行取得分の圧縮率t60%となることを改めて示している。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3121号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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