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M&Aニュース

                                               2010年07月30日
 





   使用人に係るみなし役員の判定における留意点
      
                        
 
  

      最も高い割合で第4順位以下でも経営従事は実態で判断

 
 
 一般に同族会社の使用人については「みなし役員」に該当すれば、法人税法上の役員給与の損金不算入制度(法法34)における役員となる。みなし役員の前提となる特定株主の要件においては、持株割合または議決権割合のいずれかで50%を超えるか否かを判定することが多いが、上位3株主グループが持株割合、議決権割合でそれぞれ異なるケースもある。
 別表二(同族会社等の判定に関する明細書)では「最も高い割合」で判定するが、みなし役員の判定では、持株割合、議決権割合のいずれかを優先させる規定は見当たらないため、上位3株主グループをどの所有割合で判定するのかという疑問の声も聞こえる。最も高い所有割合で判定した場合に第4順位以下であっても、別の所有割合による判定で上位3株主グループに属する使用人については、みなし役員に該当するかどうかは会社経営の従事の実態で判断することとなろう。


◆ 第4順位の株主グループの扱いは?


 使用人が特定株主に該当するか否かについて、株式会社では持株割合または議決権割合で所有割合50%超の判定を行うケースが一般的だ。同じ上位3株主グループが占める場合は問題ないが、例えばC(表)のように持株割合で第3順位の使用人が、優先株の発行等の理由から議決権割合で第4順位以下とするケースが稀にあるという。
 しかし、別表二では「最も高い割合」とあるので、上記のように議決権割合が上位3株主グループ以外ならば「みなし役員」に該当しないのではないかという見方も一部にあるようだ。

 <第3順位が異なる例>

株主 持株割合 議決権割合
30% 30%
B 15% 16%
C 11% 6%
D 6% 11%

議決権割合:30+16+11=57%
  持株割合:30+15+11=56%


◆ 所有割合に関する優先規定はなし


 そもそも役員給与の損金不算入制度における同族会社の役員の要件については、第1順位から第3順位までの株主グループにおける所有割合の合計がはじめて50%を超える場合等のほかに「役員の属する株主グループの当該会社に係る所得割合が10%を超えていること」及び「役員の当該会社に係る所有割合が5%を超えていること」を規定(法令71@五)。同族会社の使用人についても同様に、みなし役員の判定に関する読み替え規定を定めている(法令7二)。このため、使用人がすべての要件を満たす場合には使用人兼務役員に該当しない。
 使用人兼務役員とされない同族会社の役員については法令で、同族会社の役員のうち一定要件を満たす大株主は使用人兼務役員とされないが(法令71@五)、この一定要件である所有割合については、持株割合で判定すれば持株割合、議決権割合で判定すれば議決権割合など区分に応じた割合と定めている(法令71B)。この所有割合の計算については、同族会社の判定をする場合の取扱いを準用することが法人税法基本通達9−2−7の注意書きで明らかにされているが、みなし役員の場合には、どれを優先させるかという取扱いは見当たらない。


◆ 1つの所有割合による判断は注意を


 このため、持株割合と議決権割合で50%超となる株主グループがそれぞれ異なる場合には、これまで見てきたように優先規定がないことから、例えばCのような使用人が最も高い割合である議決権割合で50%超の上位3株主グループに入らないからと言って、ただちに「みなし役員に該当しない」と判断することは早計だ。
 議決権割合以外の持株割合において上位3株主グループに入るならば、使用人が”特定株主”として経営に従事する「みなし役員」に該当するかどうかは、会社の経営に従事している経営関与の実態により事実認定が行われることとなろう。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3123号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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