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M&Aニュース

                                               2010年08月02日
 





           行為計算の否認
      
                        
 
  

        
 
 多数の株主が経営陣をチェックする非同族会社とは異なり、少数の株主が支配する同族会社では、会社の税負担を不当に軽減する行為が容易に起こり得る。不自然・不合理な行為が認められる結果をにらみ、税法上においては、同族会社等の行為計算否認規定が設けられている(法法132)。
 同族会社等の行為計算の否認とは、更生又は決定をする場合において、不当に税負担を軽減させる結果となると認められる行為又は計算に対し、税務署長の判断で否認できるというもの。
 行為計算の否認規定は、同族会社に係るものだけでなく、平成13年度税制改正では「組織再編成に係る行為又は計算の否認」(法法132の2)が創設され、平成14年度税制改正では「連結法事に係る行為又は計算の否認」(法法132の3)が設けられるなど、法人税法上の行為計算の否認規定は大きく3種類ある。国際取引の拡大に伴い、行為計算の否認規定に関心が高まっているようだ。
 行為計算の否認については、租税回避の否認規定と解されているが、租税回避の定義自体がないこともあり、節税との区別が難しいのが実情。そのため税務署長が行為計算の否認を行う場合には、高額な役員給与の損金不算入や寄付金など個別規定で対処できるものよりは、個別規定にないような不当に税負担を軽減させる不自然・不合理な行為に対し、国税当局が慎重に事実を細かく積み上げて、想定される行為計算に引き直して課税するとされる。租税回避を法律で規制する行為だけに、そう簡単に発動できないとみられることから、まさに”伝家の宝刀”とも呼ばれる。
 ちなみに、同族会社等の行為計算の否認規定に関しては、法人税法だけでなく、所得税法157条及び相続税法64条においても同様の規定がある一方、平成22年度税制改正によるグループ法人税制では組織再編や連結納税のような包括否認規定は設けられていない。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3123号)
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