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M&Aニュース

                                               2010年08月03日
 





    親会社による子会社資産の買取り 
           清算中でも譲渡損益は繰延べ
      
                        
 
  

      繰延られた譲渡損益  最後事業年度で取り戻すことに
 
 


 子会社の清算中に、その残余財産の換価手続きの一環として、親会社が子会社の資産を買取ることがあるようだ。
 これは、例えば子会社の保有資産(譲渡損益調査資産に該当)が特殊な機械等で第三者への売却が難しいような場合に行われるものだが、この親子間に完全支配関係がある場合、@その譲渡損益調整資産(時価)の買取り時に生じる譲渡損益は清算中であっても繰り延べられる一方、A子会社の残余財産が確定した段階で取り戻されることとなる。
 清算中には譲渡損益の繰延べはないと誤解する向きもあるようなので、この点には留意が必要だろう。


◆ 清算中も譲渡損益調整資産の譲渡損益は繰延べ


 22年度税制改正により、完全支配関係(法法2十二の七の六)がある内国法人間で譲渡損益調整資産を譲渡した場合、その譲渡損益については、譲渡損益調整資産をグループ外に移転等するまでは繰り延べられることとされた(法法61の13@)。
 この点は清算中にも同じで、例えば100%子会社の清算中に、その子会社の譲渡損益調整資産を親会社が買い取ったような場合においても、その買取り時に子会社側で生じる譲渡損益は繰り延べられることとなる。


◆ 残余財産が確定した段階で取戻しに


 もっとも、この繰り延べられた譲渡損失については、その子会社の残余財産が確定した段階、すなわち残余財産の確定日の属する最後事業年度で取り戻されることとなる。
 これは、法人税法第61条の13第3項において、譲渡損益調整資産に係る譲渡損益が繰り延べられた後、「完全支配関係を有しないこととなったとき」(=残余財産の確定した日の翌日)には、その「前日の属する事業年度」(=最後事業年度)において取戻しを行うとしている点を根拠規定とする。残余財産の確定日までは完全支配関係が存在し、その翌日から完全支配関係が消滅すると考えるため、このような規定振りとなっているようだ。


◆ 親会社が子会社の資産を買い取る場合


 具体的にいうと、例えば親会社Aが清算中の100%子会社Bから機械Cを買い取ったことにより、B社に100の譲渡損失が生じた場合、買取り時においては、会計上は100の譲渡損失を費用計上する一方(仕訳例「譲渡損100/機械100」)、税務上はその譲渡損失100を繰り延べるため譲渡損失100を益金算入する(税務上の仕訳例「譲渡損100/機械100」及び「調整勘定100/譲渡益100」)。
 その後、B社は残余財産が確定した最後事業年度において、機械Cに係る譲渡損失100を損金算入することとなる(税務上の仕訳例「譲渡損100/調整勘定100」)。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3123号)
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