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M&Aニュース

                                               2010年08月11日
 





   債務超過であることの説明書類 
          実態貸借対照表に限らない方針
      
          
                                
 
   

 実態貸借対照表の作成 事業譲渡等の場合には譲渡価額によることも






 国税庁が公表した改正法人税基本通達等では、清算所得課税廃止に伴い、期限切れ欠損金の利用範囲が拡大されたことに対応した新設項目がある。
 いずれも基本的には、解散した場合の期限切れ欠損金利用の前提条件・「残余財産がないと見込まれる」場合には、@実態貸借対照表の上で債務超過である状態が該当し、Aその判定は各清算期末で行い、B期限切れ欠損金の利用の際に提出が求められる”債務超過状態であることの説明書類”には実態貸借対照表が含まれる点などを明確化したものである。


◆ 残余財産がある状態での債務免除 寄附金課税が生じる可能性も


 前述のように、「残余財産がないと見込まれる」か否かは、債務超過の状態にあるかどうかで判断され(法基通12−3−8)、その判定は各清算事業年度末で行うことと明確化されえた(法基通12−3−7)。解散時や債務免除時に債務超過の状態にあっても、期限切れ欠損金を利用しようとする清算期末で債務超過でなくなったのであれば「残余財産がないと見込まれる」ことには該当せず、期限切れ欠損金の利用は認められないということだ。
 このため、例えば資産100・負債500の会社を解散し、清算事業年度1年目の期中にその負債500につき債務免除を受けたような場合、債務免除直前の時点では400の債務超過だが、期末時点では債務超過ではなくなるため期限切れ欠損金の利用は認められず、場合によっては、債務弁済に充当すべき資産が残っているにも関わらず債務免除をした行為について経済的合理性が疑われ、寄附金課税の問題が生じる可能性もあるので留意が必要だ。


◆ 債務超過であることの説明書類 実態貸借対照表に限らず


 さらに、期限切れ欠損金の利用に際しては、各清算事業年度末において「残余財産がないと見込まれる」(=債務超過の状態にある)ことを説明する書類を申告書に添付する必要があるが(法規26の6三)、この書類には、例えば処分価格ベースで作成された実態貸借対照表が該当するとされた(法基通12−3−9) もっとも、これは一例に過ぎず、実態貸借対照表意外の書類であっても債務超過であることを説明できるものがあるならば、それも上記書類に含むものとして取り扱う方針だ。中小企業などにしてみれば、実態貸借対照表の作成は実務上負担になると考えられるため、より簡易に作成されるようなものも説明書類に含められるようだ。詳細は今後明らかにされる予定だ。


◆ 実態貸借対照表の作成 事業譲渡時には譲渡価額によることも


 仮に、説明書類として実態貸借対照表を用いる場合、これは原則として処分価格ベースで作成されるが、場合によっては「譲渡される場合に通常付される価額」で作成されることも求められる(法基通12−3−9(注))。
 例えばX社がA事業とB事業を営んでおり、このうち業績不振にあるA事業を廃業し、業績好調なB事業を第三者に事業譲渡する前提でX社が解散するような場合、A事業に係る資産は処分価格で実態貸借対照表に反映されるが、B事業に係る資産は今後も使用される見込みのため「譲渡される場合に通教付される価額」で反映される。
 ただし、この例のような事業譲渡などが第三者に適正な時価で行われる場合には、あえて資産評定を要することなく、その売却価額を「譲渡される場合に通常付される価額」とすることも認められるようだ。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3124号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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