2010年08月30日
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のれん・開発費の連結修正は不要に
ASBJ IFRSとの差異縮小で実務対応報告18号を改正へ
企業会計基準委員会(ASBJ)は、企業結合会計基準の改正及び無形資産に関する会計基準の開発に伴い、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の見直しに関する検討も行っている。8月5日に開催した第207回本委員会では、具体的な改正箇所について審議を行った。現在、連結決算上で修正を要する5項目のうち、@のれんの償却、A研究開発費の支出時費用処理、B少数株主持分の会計処理、の3項目については、IFRSとの差異が解消される見込みであることから、当該3項目の修正を求める規定を削除することが提案された。
◆ 6項目から2項目へ
実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(平成21年3月期から適用)は、連結決算手続上、在外子会社の会計処理について、日本基準により統一することを原則とするものの、当面の取扱いとして、IFRSまたは米国会計基準に準拠した連結決算資料の利用については一定の調整を条件に認めるというもの。公表時は6項目(下表)について、重要性が乏しい場合を除き、連結決算手続上、在外子会社の会計処理を修正しなければならないこととしていた。
その後、IFRSとのコンバージェンスにより、差異の解消が進み、今年2月には、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の公表に伴い1項目が削除され、さらに3項目についても差異が解消される見込みとなったことで修正項目からの削除が検討されている。
◆ 「開発費」は米国基準と差異が・・・・
しかし、開発費に関しては問題が残されている。IFRSとの差異が解消する一方、米国基準においては資産計上化されていないため、米国基準とは差異が生じる結果になる。この点に関し、8月5日の委員会では、子会社が米国基準を適用している場合の連結修正については言及しあにことが提案された。すなわち、修正項目として明記せず、当初案通り、削除するというものだ。ただし、「明らかに合理的でないと認められる場合には、修正を行う必要がある」との規定は残るため、実務上は修正が必要なケースもありそうだ。
修正項目 |
対応案 |
(1)のれんの償却 |
改正企業結合会計基準によりIFRSとの差異が解消(のれんの非償却化)した場合⇒削除へ |
(2)退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理 |
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(3)研究開発費の支出時費用処理 |
無形資産会計基準によりIFRSとの差異が解消(開発費の資産計上化)した場合⇒削除へ |
(4)投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価 |
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(5)会計方針の変更に伴なう財務諸表の遡及修正 |
遡及基準の公表により削除済み |
(6)少数株主損益の会計処理 |
改正企業結合会計基準によりIFRSとの差異が解消(表示方法等)した場合⇒削除へ |
(以上参考;週刊「経営財務」第2979号)
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