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M&Aニュース

                                               2010年08月31日
 




          100%子会社の解散  
    未処理欠損金を全額引き継げる場合も


     
           
   

     外国子会社の解散 子会社株式の消滅損は損金に算入
 



 22年度税制改正では、グループ法人税制の導入に伴い、子会社の未処理欠損金の引継ぎ規定を見直すとともに、精算所得課税廃止に伴って期限切れ欠損金の利用範囲の拡大を行うなど、「欠損金」に係る規定の大幅な改正を行っている。
 このため、どのような子会社であれば未処理欠損金を引き継げるのか、期限切れ欠損金を利用できるのか、子会社が内国法人・外国法人であるかにより扱いは異なるのかといった点で少々混乱する向きもあるようだ。
 そこで以下では、@完全支配関係がない子会社を解散した場合、A完全支配関係がある子会社を解散した場合、B外国子会社を解散した場合の3パターンに分けて、基本的な考え方を整理する。


@完全支配関係がない子会社を解散した場合


 まず、完全支配関係のない子会社を解散した場合は、グループ法人税制の適用はなく、各清算期末において実質債務超過であると認められたならば、期限切れ欠損金の利用が認められることとなる。
 例えば、子会社A社が22年10月1日以後に解散した後、親会社X社から債務免除を受け(X社はA社発行株式総数の40%分を保有)債務免除益が生じた場合、一定の要件の下、未処理欠損金(=青色欠損金)・期限切れ欠損金の順で、A社ではこれらの欠損金と債務免除益を相殺し、税負担を軽減することができる(法法57、59)。
 ただし、仮にA社において最終的に未処理欠損金が残ったとしても、A社とX社の間には完全支配関係(法法2十二の七の六)がないため、これをX社が引き継ぐことは認められない。その代わりにX社は、最終的には保有するA社株式の消滅損を損金算入することが認められる(法法61の2@)。


A完全支配関係にある子会社を解散した場合


 一方、完全支配関係子会社の解散に伴って債務免除を行い、その債務免除が親会社側で寄附金、子会社側で受贈益とされた場合には、グループ法人税制の適用により子会社側での期限切れ欠損金の利用はなく、未処理欠損金を引き継げるかどうかが重要となる。
 例えば、完全支配関係子会社B社が22年10月1日以後に解散した後、完全支配関係親会社Y社から債務免除を受けた場合(B社とY社の完全支配関係は従前から途切れることなく継続。残余財産の分配はなし。)この債務免除がY社において寄附金とされ損金不算入となり(法法37A)、これを受領したB社においては受贈益となって益金不算入となるのであれば(法法25の2@)、仮にB社の残余財産確定日までに受贈益以外に益が生じなかったとすると、B社における未処理欠損金は一切利用されない(期限切れ欠損金も利用されない)こととなるため、最終的に未処理欠損金は丸々、親会社Y社に引き継がれる(法法57)。
 その代わりにY社は、B社・Y社間に完全支配関係があることから、グループ法人税制の適用を受け、Y社の保有するB社株式について消滅損を損金算入することは認められないこととなる(法法61の2O)。


B外国子会社を解散した場合


 もっとも、上記@Aの例は、いずれも子会社が「内国法人」の場合に限られ(法法61の2O)、子会社が「外国法人」の場合には扱いが異なってくる。
 例えば、外国子会社C社が22年10月1日以後に解散した後、日本の親会社Z社から債務免除を受けた場合(Z社はC社発行株式総数の100%を保有)、外国子会社C社には債務免除益が生じ、当該国の法令に則って税務処理を行うこととなる。
 その一方で、日本の親会社Z社においては、最終的に、保有するC社株式の消滅損を損金算入することが認められることとなる(法法61の2@)。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3127号)
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