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M&Aニュース

                                               2010年09月07日
 




        オランダとの租税条約を全面改正
       


           匿名組合契約から生ずる所得の課税や仲裁手続制度を導入へ                                  

     
 昨年末に日本とオランダの租税条約の改正交渉が合意に至り、匿名組合契約から生ずる所得について課税関係が整理されたことで注目されたが、この新日蘭租税条約の署名が両国政府により行われたことを、財務省がHPで公表した。
 これにより、両国の国内手続きを経た後に公文の交換が行われると、その翌日から30日目に新しい条約が効力を生ずることとなる。
 新しい日蘭租税条約は、匿名組合契約から生ずる所得について課税関係が整理されたことにあわせ、日本の締結した租税条約で初めて税務当局の仲裁手続制度が設けられている点でも注目されている。


◆ 使用料は免税に


 ヨーロッパに進出している多くの日系企業の拠点がオランダに置かれており、また、匿名組合契約から生ずる所得が、条約上「その他所得」に該当することから、日本において課税されないこともあり、日蘭条約の改正内容が注目されてきた。
 昨年末に条約の改正交渉が合意に至ったことが明らかにされていたわけだが、8月25日に、両国政府の署名が行われ、改正条約の全容が明らかになった。
 それによると、配当、利子、使用料に対する課税の軽減・免税は下記のとおりとされ、投資先の投資所得の課税に優遇措置が講じられた。


配当 利子 使用料
現行条約 5%
(持株25%以上)
15%
(その他)
免税
(政府等)
10%
(その他)
10%
新条約 免税
(持株50%以上)
5%
(持株10%以上)
10%
(その他)
免税
(政府、銀行等)
10%
(その他)
免税



◆ 特典の制限条項つき条約に


 また、現行の日米租税条約以後、日本の締結する租税条約の特徴にもなっている、いわゆる条約特典の濫用防止規定も設けられた。
 このほかにも、LLCのように課税上の取扱いが異なる事業体に関する規定や、移転価格課税の処分を課税年度終了時から7年とする規定も設けられた。
 さらに、匿名組合契約から生ずる所得について、日本においても課税できる内容に条約が改められている。


 仲裁手続条項を設けた初めての条約に


 新しい日蘭条約で特に注目されるのは、仲裁手続制度が設けられた初めての条約であることだ。
 これはOECDモデル条約にもある仲裁手続条項であり、例えば、相互協議において、2年以内に合意に至らない問題について、その問題の解決を有識者による第三者機関に委ねて、その解決を図ることが可能となるものだ。
 第三者機関は、日蘭に限ることなく第三国の有識者により構成されることも認められるとされており、国際的な租税問題の解決の一助になることが期待される。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3129号)
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