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M&Aニュース

                                               2010年09月14日
 




 

      100%親会社から受ける債務免除と
     残余財産確定による未処理欠損金の引継ぎ
         
       

  
      
        
              

     
 22年度税制改正ではグループ法人税制の導入により、22年10月1日以後に解散した場合、100%子会社株式の消滅損を損金不算入とする代わりに、一定の要件の下、その子会社の残余財産確定によって未処理欠損金を親会社が引き継ぐ旨の措置を行っている(法法57A)。
 ところで、一般的に、清算中の会社において収益が生じるケースは多くないと見られるが、なかには、清算中に100%親会社から債務免除を受けたことにより、その債務免除益が親会社側では寄附金、その子会社側では受贈益とされることもある。このような場合、一見すると、子会社側の債務免除益は上記未処理欠損金と相殺されることとなると考えることもあるだろうが、実際には、この債務免除益は受贈益として益金不算入となるため、結果として子会社では未処理欠損金を用いる機会がなく、その全額を親会社が引き継げることとなる。
 例えば、A社の100%子会社であるB社が23年3月31日に解散し、27年3月31日に残余財産を確定させるまでの間、合計で△40の青色欠損金が生じたとする(A社とB社の完全支配関係は従前から途切れることなく継続しているため、未処理欠損金の引継ぎ制限は生じないものとする(法法57BC)。
 このケースにおいて、26年3月31日に、親会社Aから100%子会社Bが100の債務免除を受け、その債務免除が親会社A側で寄附金とされ損金不算入となり(法法37A)これを受けた子会社B側では受贈益とされ益金不算入となった場合(法法25の2@)、子会社Bでは、解散日(23年3月31日)から残余財産確定日(27年3月31日)までの期間において、受贈益100以外に所得が一切生じていないのであれば、B社における未処理欠損金合計額△40は利用されることがない。
 このため、最終的に子会社Bにおける未処理欠損金△40はすべて、親会社Aに引き継がれることとなる。A社とB社の間に100%関係がないのであれば、上記の受贈益100は益金不算入とならないため、未処理欠損金△40はすべて使用されることとなり、親会社Aは子会社Bの未処理欠損金を一切引き継げないが、A社とB社の間に100%関係がある場合には、上記のように全て引き継ぐことが可能となるわけだ。
 親会社が子会社を整理するような場合には、「残余財産確定の場合の未処理欠損金引継ぎ制度」と「100%グループ内の法人間の寄附制度」が同時適用されるケースもあるという点に留意されたい。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3129号)
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