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M&Aニュース

                                               2010年09月27日
 




 

          第二次納税義務 
   清算人や同族会社オーナーに生じることも 
    
   
        
債務免除益等課税分 第二次納税義務の範疇となる点に注意           

     
 22年度改正で清算所得課税が廃止されたことに伴い、今後は債務免除益等に課税が生じる可能性もあるが、仮にそのような課税が生じたものの、清算法人に納税資金がないような場合、いわゆる”違法配当”のケースでは清算人等に第二次納税義務が生じ、また、同族会社のオーナーに第二次納税義務が生じることもあるので注意が必要だ。


◆ 違法配当の場合 清算人等に第二次納税義務が生じることも


 22年度改正前においては、清算所得課税の下、清算所得が生じたのであれば課税関係が生じることとされていたが(旧法法93等)、この点、実務においては、清算所得に係る納付税額があるにも関わらず、これを納付しないまま残余財産の分配を行うこと(いわゆる違法配当)が少なからずあった模様だ。
 違法配当は会社法上禁止されており(会社法502)、国税徴収法の上でも「清算人等の第二次納税義務」の規定において(徴法34)、納付義務を果たさないまま残余財産の分配等をした場合には、一定の限度額の下、清算人やその分配を受けた者に第二次納税義務が生じるとされている(残余財産の分配がない場合、第二次納税義務は生じない)。


◆ 債務免除益課税分も第二次納税義務の範疇に


 ところで、この第二次納税義務については、22年度改正後はより注意が必要だろう。22年度税制改正後は清算所得課税の廃止に伴い、22年10月1日以後解散分からいわゆる損益法ベースで税務処理を行うこととされたため、債務免除益等に課税関係が生じ、清算年度における納付税額が従前よりも多額なものとなる可能性もあるからだ。
 もちろん、22年度改正では清算所得課税廃止と同時に期限切れ欠損金の利用範囲を拡大し、たとえ解散法人に債務免除益等が生じたとしても、各清算期末において「残余財産がないと見込まれる」(実態貸借対照表等の上で債務超過である)のであれば、この債務免除益等と期限切れ欠損金を相殺させ、過大な税負担が生じないよう規定している(法法59B)。しかし、清算所得課税が長く存置されてきたことなどの影響もあり、依然として、解散時などに債務免除を行っても無条件で期限切れ欠損金を利用できるものと誤解する向きもあり、そうすると場合によっては所定の手続きに則ることを失念し、期限切れ欠損金を利用できず、債務免除益等に課税が生じる可能性もあるということだ。


◆ 清算人等への第二次納税義務 残余財産分配額が上限額に


 もっとも、仮に上記のようなケースで第二次納税義務が清算人等に生じたとしても、その納付税額は、その分配した「財産の価額」を上限とする。つまり、仮に債務免除益等に100の納付税額が生じたとしても、清算人の分配した残余財産等が90しかないのであれば、その90が納付税額に充当されることとなる。


◆ 同族会社オーナーに第二次納税義務が生じることも


 なお、国税徴収法では、例えば同族会社AのオーナーB(=株主)が、同族会社Aの事業遂行上欠かせない機械Cを貸し出しているような場合(=オーナーBが、A社の事業遂行上欠くことのできない重要な資産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得がA社の所得となっている場合)、同族会社Aの解散で債務免除益等が生じ納付税額が発生したものの、その納付資金がないのであれば、オーナーBに第二次納税義務が生じるとした「共同的な事業者の第二次納税義務」(徴法37)の規定もあるので、この点にも注意が必要だろう。
 もっとも、同規定が設けられたのは相当前で、現在では同規定の適用は少ないのではないかと見る向きもあるようだ。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3130号)
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