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M&Aニュース

                                               2010年09月29日
 




 

   親会社による清算会社資産の買取り
       子会社側の仕訳例を紹介
            
    
 
買取価額時価より低いと寄附金・高いと
                 受贈益が生じることも         

     
 100%子会社の清算中に、その残余財産の換価手続きの一環として、親会社が子会社の資産(譲渡損益調整資産に該当)を買い取ることがある。
 このようなケースでは、この子会社資産の買取価額が時価と同額であれば、その買取り時に生じる譲渡損益が繰延べられるだけで特段問題はない。しかし、例えば、買取り価額が時価よりも低い場合には、その買取り価額と時価の差額が、子会社側では寄附金(親会社側では受贈益)となり、逆に高い場合には、子会社側では受贈益(親会社側では寄附金)となることもあるので留意されたい。以下では、具体例を用いて、子会社側における会計上・税務上の仕訳例を紹介する。


◆ 時価と同額で買い取った場合


 例えば、親会社Aが清算中の100%子会社Bから土地(帳簿価額100、時価70)を現金で買い取ったとする。この場合、まず、買取り価額が時価と同じ70であったとすると、買取時において、子会社Bは以下のような仕訳を行うこととなる。

(会計上の仕訳)

現金     70/ 土地    100
譲渡損    30/

(税務上の仕訳)

現金     70/ 土地    100
譲渡損    30/
調整勘定  30/ 譲渡益    30


 その後、子会社Bの残余財産が確定した段階では、下記のような仕訳で、土地に係る譲渡損30を損金算入する(取り戻す)こととなる。


(会計上の仕訳)

なし

(税務上の仕訳)

譲渡損   30/ 調整勘定  30



◆ 時価よりも低い価額で買い取った場合


 では次に、買取り価額が時価よりも低いケースではどのような税務処理を行うこととなるかだが、例えば、親会社Aが清算中の100%子会社Bから土地(帳簿価額100、時価70)を現金で買い取った場合、買取価額が60であったとすると、買取り時において、子会社Bは、会計上は譲渡損40を計上する。しかし、税務上はあくまでも帳簿価額100と時価70の差額分30しか譲渡損の計上が認められないので、会計上の譲渡損40と税務上の譲渡損30の差額10は寄附金とされ、損金不算入となる。
 また、買取時においては、税務上は譲渡損30を繰り延べるため、この譲渡損30を益金算入するが、、残余財産が確定した段階では譲渡損30を損金算入する(取り戻す)こととなる。


◆ 時価よりも高い価額で買い取った場合


 逆に、買取り価額が時価よりも高い80であったとすると、買取り時において、子会社Bは会計上譲渡損20を計上する。しかし、税務上は帳簿価額100と時価70の差額30を譲渡損として計上することとなるので、会計上の譲渡損20と税務上の譲渡損30の差額10は受贈益とされる(この受贈益10は、別表四において加算調整した後、益金不算入となるため減算調整を行う)。
 なお、買取時において、税務上は譲渡損30を繰り延べるため譲渡損30を益金算入するが、残余財産が確定した段階では譲渡損30を損金算入する(取り戻す)こととなる。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3131号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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