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M&Aニュース

                                               2010年10月14日
 




 

   
  基本合意に至った香港との租税協定の詳細に
             実務家が注目
               
            
    
 
     二重課税を調整するための相互協議条項が焦点に
 
      
                         
          

     
 今年の3月に、財務省は香港との租税協定について基本合意に至ったことを、同省のHPに掲載し明らかにした。
 近年、日本が締結する租税条約は、OECDモデル条約を重視しており、投資先の国や地域における配当、利子、使用料に対する税率の減免措置、課税当局間の租税に関する情報交換、条約の恩典の濫用を防止する規定の3点を柱とする傾向が見られ、今後もその方向で条約交渉は進められるようだ。
 財務省から公表された資料によると、香港との租税協定についても、最近の租税条約と同様の傾向が見られ、また、二重課税の調整を目的としていることが明らかにされていることから、何らかのかたちで「相互協議」にかかる規定が盛り込まれていることが予想される。
 現在、日本と香港との間には、租税に関する条約や協定といった規定が存在しない。
 金融や製造業を中心に、日本と香港は密接な経済関係にありながら、日中租税条約の適用がないことから、香港が中国に返還されてからも、香港の課税当局と日本の課税当局の間で「相互協議」を行うことはできなかったことから、二重課税が調整されることはなかった。
 現在、最終段階にある日本と香港の租税協定に「相互協議」条項が盛り込まれることが期待されるのも、そういった背景があるからで、租税協定の詳細な内容について財務省の公表が待たれている。


 
◆ 日本と香港の間には日中租税条約の適用なし


 来料加工や進料加工に代表される製造業を中心に、多くの日本企業は香港を活用した委託加工事業を展開しており、また、金融業も香港とは活発に取引を行っているのは周知のとおりだ。
 しかしながら、日本は香港と租税条約を締結しておらず、また、日中租税条約の適用もない。日中租税条約は3条で、「中華人民共和国」とは、地理的意味で用いる場合、中国の租税に関する法令が施行されている領域と規定されており、条約の効力は香港には及ばない。
 よって、これまでの日本と香港との間においては、条約に基づいた相互協議を行うことができず、二重課税といった税務上のリスクを解消することができない状況にあった。


 
◆ 期待される相互協議条項


 今年の3月に、日本と香港との間の租税協定が合意に至ったことが財務省から公表されているが、「相互協議」条項については、特に明らかにされなかった。
 また、すでに、合意の発表から半年が経過しているが、その後に財務省から香港との租税協定に関して公式には何も明らかにされていない。
 ただ、近年の日本が締結している租税条約は、OECDモデルに沿った内容となっていることや、二重課税の調整を目的としていることからすると、香港との租税協定に「相互協議」条項が設けられる可能性は極めて高い。
 租税条約や租税協定は、両政府における必要な手続を経た上で署名が行われ、協定の内容が確定し、その後、両国や地域における承認手続を経た上で、発効される。
 よって、今後、両政府による署名が行われ、租税協定の詳細な内容が明らかになる際には「相互協議」に関する詳細を確認しておきたい。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3134号)
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