運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2010年10月22日
 




 

   
       22年度税制改正に対応した
             
 基礎からわかる解散・清算・残余財産確定Q&A
            
    その4
 
     
 
                    
          

     
 <その他>

 Q52 Q4であった説明のように、法人が解散した場合、その「解散」をもって事業年度が分断されますが、そうすると、「清算結了」をもって最後事業年度は終了すると考えるのでしょうか。

 A そのようには考えません。法人税法上、最終事業年度は「残余財産の確定日」をもって終了します。つまり、「清算結了の登記」を実際に行ったかどうか、それをいつ行ったかどうかなどは、税務とは関係ありません。
 会社法の上では、清算会社は清算事務終了に伴う決算報告(会社法507B)の承認日から2週間以内に「清算結了の登記」をしなければならないとされており(会社法929一)、この登記をもって清算会社の法人格は消滅すると見る向きもあります(ただし、判例では、債務弁済が完全に終わっていないような場合は、たとえ登記をしたとしても、法人格はまだ消滅していないと解しています)。
 ただ、清算会社が清算結了の登記をしたとしても、これは第三者に清算の事実を公示する効力があるに過ぎず、税務とは直接関係しません。税務上、最終事業年度は「残余財産の確定日」をもって終了することとなります(法法14@二十一)。


 Q53 期限切れ欠損金の利用は一度に限定されるのですか。それとも、何度でも利用できるのですか。

 A 期限切れ欠損金の額の範囲内で、何度も利用できます。
 例えば、清算法人Aに解散時点で青色欠損金が50、期限切れ欠損金が50あったとします(その後、新たな欠損金は生じないと仮定)。このケースにおいて、清算年度1年度目で債務免除益が60生じたので、これと相殺すべく青色欠損金50及び期限切れ欠損金10を利用した場合、青色欠損金の残額は0、期限切れ欠損金の残額は40となります。
 その後、清算年度2年度目でも債務免除益40が生じたような場合は、残りの期限切れ欠損金40を利用することができます。
 Q18でも紹介しましたが、期限切れ欠損金の利用は、各清算事業年度”末”において「残余財産がないと見込まれる」ことが前提となるため、@期限切れ欠損金を利用しようとする清算年度で「残余財産がないと見込まれる」こととなり、A期限切れ欠損金が残っている限り、利用は何度でも可能です。もっとも、実務においては、債務免除を複数回に分けて行うようなケースは少ないものと見られます。


 Q54 Q39では、22年9月30日までに解散すれば子会社株式の消滅損を計上できるとありますが、22年9月30日までに「解散」しても、22年10月1日以後に「残余財産の分配」があった場合には消滅損を計上できないのではないでしょうか。

 A 平成22年9月30日までに解散し、22年10月1日以後に残余財産の分配をしたような場合であっても、子会社株式の消滅損は計上できます(法法61の2O)。
 確かに、改正法の附則では、22年10月1日以後に残余財産の分配等した場合には、子会社株式の消滅額は計上できないとしており(22改正法法附則21)、一見すると、22年9月30日までに解散しても、22年10月1日以後に「残余財産の分配」があったのであれば消滅損を計上できないとも考えられます。つまり、「子会社株式の消滅損の計上」に加え、「未処理欠損金の引継ぎ」もできないと誤解する向きもあるということです。
 しかし、この点につき改正政令の附則では、たとえ22年10月1日以後に残余財産の分配等を行ったとしても、その解散が22年9月30日以前である場合には、子会社株式の消滅損を計上できるとしています(22改正法令附則13A)。
 この点に関する適用関係は、以下の表のようになります

H22.9.30までに解散。残余財産の分配を行った場合 H22.9.30までに解散。H22年.10.1以後に残余財産の分配を行った場合 H22.10.1以後に解散、残余財産の分配を行った場合
子会社株式の消滅損の計上 ×
未処理欠損金の引継ぎ × ×


 Q55 清算中の各事業年度における法人税率はどうなりますか。

 A 今後は、通常の場合と同様となります。つまり、原則の法人税率は30%ですが(法法66@)、一定の法人においては、年間所得800万円以下の分に18%の軽減税率が適用されます(法法66A、措法42の3の2)。
 従前、普通法人の清算所得に係る法人税率は27.1%のみでした(27.1%という税率は、従前、清算法人の最終事業年度において法人事業税を損金算入できなかったため、これを配慮して算定された値です)。その清算法人が大企業であるか、大企業の子会社であるか、中小企業であるかに関わらず、税率は一種類しかなかったということです(旧法法99@)。
 しかし、今後は、清算中の所得計算が損益法ベースに見直されたため(法法21)、清算中においても、軽減税率18%(本則22%)の適用がある法人、ない法人に分かれることとなります。
 なお、22年度改正では、清算法人の所得計算が通常の損益計算書に見直されると同時に、大企業と完全支配関係にある子会社には軽減税率18%の適用がないこととされました。結果、資本金等の額が5億円以上の法人との間に完全支配関係がある資本金1億円以下の普通法人(例えば大企業の100%子会社)が解散した場合、年間所得800万円以下の部分について軽減税率18%の適用はなく、通常の税率30%が適用されることとなります(法法66@E)。また、清算法人の最後事業年度の法人事業税は、従前は最後事業年度で損金算入することはできませんでしたが、今後は最後事業年度で損金算入することが認められるようになっています(法法62の5D)。







       (以上参考;週刊「税務通信」第3134号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo