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M&Aニュース

                                               2010年10月25日
 




 

   
    期限切れ欠損金額に関する質疑も掲載
             
    国税庁 法人税質疑応答事例第2弾公表 
    
 
     
 
                    
          

     
 

 国税庁は10月8日、グループ法人税制などに関する法人税質疑応答事例を公表した(法人課税課情報第5号、審理室情報第2号、調査課情報第3号、平成22年度税制改正に係る法人税質疑応答事例『グループ法人税制その他の資本に関係する取引等に係る税制関係』(情報)平成22年10月6日付)。


 ◆ 決算期が同じ法人は同一のものを添付


 今回の公表された6種類13問のうち、完全支配関係に関して2問取り上げている。完全支配関係がある法人は、平成22年4月1日以後開始事業年度から完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した出資関係図を添付する(法規35条四)。問1では、出資関係図の作成に関して「期末時点の状況である」「決算期が同一の法人では、同じものを確定申告時に添付する」「出資関係図には法人名のほかに、所轄税務署、代表者氏名などの項目を記載する」ことなどを記載することとし、作成例も併せて紹介している。

質問の種類 質問数
完全支配関係 2問
株式の持ち合い 2問
グループ法人間の資産譲渡 1問
欠損金の引継ぎ 2問
期限切れ欠損金 4問
適格現物分配 2問


 この出資関係図には、原則として全法人を記載することになると解説しているが、外国法人や親族が支配する孫会社など把握が困難なケースでは、把握できた範囲で記載することと答えている(問2)。ただ、グループの全法人を把握できなかったとしても、把握できない法人との間でも、グループ法人税制に係る各種制度の適用があることも併せて述べている。


 ◆ 寄附修正事由による株式簿価修正は持合い株式も含めて修正


 株式の持合いに関しては、グループ以外に株主が存在しなければ、完全支配関係があると前回の質疑応答事例で示していたが(平成22年8月10日付質疑応答事例問4)、今回の質疑では、中小特例の適用の有無と寄附修正事由の取扱いを回答している(問3、問4)。
 資本金5億円以上の会社の子会社等は、法人税の軽減税率等の中小特例が不適用となる。株式の持合いに係る中小特例の適用の有無について、原則として親会社の状況で判断し、持合い株式の相手先会社の資本金が5億円以上であっても、親会社が5億円未満であれば中小特例の適用がある旨を明らかにしている(問3)。
 また、子会社で寄附金の損金不算入・受贈益の益金不算入の適用がある場合、寄附修正事由が生じたとして、親会社は子会社株式の帳簿価額の修正を行う。株式を持ち合っている会社間で寄附修正事由が生じた場合、持合い株式も含めたところで株式の帳簿価額の修正を行うことを、申告調整の方法を含めて紹介している(問4)。


 ◆ 減価償却資産の譲渡損益調整資産と期中償却費


 譲渡損益調整資産の課税繰延べは、簿価1,0000万円以上の資産が対象で、譲渡対価の額(時価)と譲渡原価の額(簿価)の差額を繰延べる(法法61条の13)。簿価の算定にあたって、譲渡損益調整資産が減価償却資産で期中譲渡の場合、会計上償却費を計上していれば、簿価は期中償却費の額を控除した後の額であると解説している(問5)。


 ◆ 引継ぎ制限と支配関係の状況


 欠損金の引継ぎに関しては、適格合併以外に残余財産確定時に解散会社と完全支配関係がある株主法人間でもできることになった(法法57条AB)。問6では、株主法人が複数の場合、欠損金額は持分割合に応じて引継ぐことになる一方で、子会社が親会社株式の一部を保有しても、解散親会社の欠損金額は子会社へ引継げないことを解説している。
 また、引継ぎ制限の指標の「最後に支配関係があることとなった日」は、継続して支配関係がある状態になった日とされる。子会社同士の適格合併による欠損金の引継ぎに関して、譲渡等で親法人が別法人になっても支配関係があることとなった日は、譲渡前の親法人による支配関係の成立日であることを示している(問79。


 ◆ 期限切れ欠損金額に関して4問掲載


 清算事業年度中の期限切れ欠損金額の損金算入制度について4問紹介している。問8では取扱いで示されている期限切れ欠損金額の算定方法を紹介し、問9では同制度の適用要件である「残余財産がないと見込まれる」ことについて、同制度を適用したその後の事業年度で当初の見込みと異なる結果になっても、過去の計算に影響を与えず、修正する必要がないことを解説している。
 さらに、問10では「残余財産がないと見込まれる」ことに関する添付書類について、取扱いで示された実態貸借対照表(法基通12−3−9)以外に、民事再生等の「再生計画又は更生計画に従った清算であることを示す書面」など公的機関等が関与している場合も該当することを示している。問11では、法的整理手続や指摘整理手続など客観性が担保されている場合に限っては、実在性のない資産の帳簿価額相当額を利益積立金額から減算することで期限切れ欠損金額と取り扱って差し支えないことを、申告調整の方法も含めて解説している。なお、解説の最後の参考として触れられている事業再生研究機構の取りまとめと、これらの質疑は同じ内容であるとのことだ。


 ◆ 現物分配と自己株式取得の計算例を紹介


 現物分配を行うケースが多いとされる自己株式の取得について、資本金等の額の調整やみなし配当の額の算定を行うために税務処理が難しく、その上、現物分配の仕組みも22年度改正で適格現物分配となれば、資産は簿価譲渡とされたものとして、譲渡損益を計上しないことになった。さらに税務処理が複雑になったことから、問12にといて、自己株式の取得と適格現物分配の申告調整等を紹介している。
 残余財産の分配において、金銭と金銭以外の資産の両方を分配するケースがある。問13では、金銭以外の資産の分配で、完全支配関係がある法人間では適格現物分配に該当することを示している。また、適格現物分配に係る配当等は源泉徴収しないが、金銭も分配していれば、金銭部分に関して源泉徴収を行うことを解説している。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3135号)
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