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M&Aニュース

                                               2010年11月02日
 




 

   
 タックスヘイブン対策税制の適用時期の留意点
             
  資産性所得の合算課税などは来期から適用
 
     
 
                    
          

     
 

 タックスヘイブン対策税制は平成22年度税制改正において、トリガー税率の引き下げや、適用除外基準の見直し、資産性所得の合算課税制度の導入など影響の大きな改正が行われている。
 海外に子会社を所有する企業では、特に資産性所得を算出するための資料収集の整備、連絡方法、システムの構築などの事務対応に苦慮していて、また既に国税庁ホームページで公表されている同税制に係る別表の記載についても疑問が生じているようだ。
 ところで、今回の改正の多くは外国法人の事業年度が基準となっていて、同税制において合算される特定外国子会社等の所得は、事業年度終了2ヶ月後の属する内国法人の事業年度の所得に含まれる仕組みである。
 このことから、内国法人の決算月、外国法人の決算月に関係なく内国法人の平成23年4月1日以後開始事業年度から適用されるため、内国法人の23年3月期など平成22年4月1日以後最初に開始する事業年度では従来どおり、旧制度適用であることを確認しておきたい。


 
◆ 適用法人の持株割合も10%に引上げ


 タックスヘイブン対策税制は今年度において、以下の内容が改正・創設されている。

@ 特定外国子会社等の判定に係るトリガー税率が20%に引下げ(従来25%)
A 同税制の適用法人の持株割合が10%以上に引上げ(従来5%以上)
B 適用除外基準の1つ、事業基準に該当しない株式保有事業から、統括会社を除外
C 非関連者基準における関連者について、卸売業を主たる事業とする統括会社に対する被統括会社を除外
D 適用除外基準該当会社の資産性所得(部分課税対象金額)の合算課税制度の創設
E 適用対象金額から控除される人件費10%相当額控除の廃止

 これらはトリガー税率の引下げにより、日本企業の多くが進出している中国、マレーシア、韓国、ベトナムの子会社が、特定外国子会社等から外れる可能性が非常に高くなるほか、適用法人の持株割合も見直されたことで事務負担は減少する。その一方、適用除外基準に該当しても、資産性所得の合算課税制度が適用される。資産性所得の合算課税は、一定額以下であれは非課税となるものの、資産性所得の額自体は算出することになるため、事務負担が大幅に増えてしまう。


 
◆ 中国子会社のトリガー税率引下げは23年1月開始事業年度から


 しかし、今回の改正の適用時期は、ほとんどが外国法人を基準にしたもの。まず、前期@については、外国関係会社の平成22年4月1日以後開始事業年度における判定から適用される(措令附則34条@)。
 中国(税率25%)の法人の事業年度は暦年であることから、トリガー税率の引下げは平成23年1月1日以後開始事業年度から適用されることになり、平成22年1月1日以後開始事業年度については従来どおり、トリガー税率を25%にして判定することになる。


 
◆ 特定外国子会社等の所得は事業年度終了2ヶ月後の内国法人の事業年    度に帰属


 AからDについても、特定外国子会社等の平成22年4月1日以後開始事業年度に係る判定や部分課税対象金額から適用される(改正法附則90条@)、措令附則34条A)。
 また、タックスヘイブン対策税制における特定外国子会社等の課税対象金額は、事業年度終了日翌日の2ヶ月後の属する内国法人の事業年度の所得計算で適用される(措法66条の6@)。資産性所得の合算課税制度も同じく、特定外国子会社等の事業年度終了日翌日の2ヶ月後の属する内国法人の事業年度の所得に加算される(措法66条の6C)。このことから、当期では旧制度を適用するため、同税制の適用除外基準に該当するケースでも、資産性所得のことを考えずに申告できる。
 たとえば、国内親会社が3月決算、特定外国子会社等が3月決算の場合、新制度適用となる特定外国子会社等の23年3月期の事業年度終了日翌日の2ヶ月後が含まれるのは、国内親会社の24年3月期が該当する。


 ◆ 人件費10%控除は当期において適用可


 一方、Eも特定外国子会社等の平成22年4月1日より前の開始事業年度においては従前どおり適用できることから(改正法附則90条A)、平成22年4月1日以後最初に開始する事業年度においては、人件費10%相当額を控除できる。
 なお、タックスヘイブン対策税制の改正で当期から適用があるものは、国外の孫会社の所得に対する二重課税調整の拡大のみである(措法66条の8、改正法附則90条D)。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3136号)
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