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M&Aニュース

                                               2010年11月04日
 




 

   
債務超過状態の説明書類
  法的整理「開始決定書の写し」などが該当
             
「債務超過の疑い」を起因としない特別清算 
              実態B/S作成が必要に
 
     
 
                    
          

     
 

 国税庁が先般公表した法人税質疑応答事例では、期限切れ欠損金の利用の際に添付を要する「残余財産がないと見込まれることを説明する書類」(以下、説明書類)に該当するものとして、法的整理や一定の私的整理によらない第二会社方式の事業再生では、各手続きで作成された書類を説明書類として取り扱うことはなく、別途、実態貸借対照表などの作成を要することとなる。


 ◆ 特別清算の開始理由によっては実態貸借対照表の作成も


 解散した場合に、期限切れ欠損金を利用できるか否かは、各清算期末で「残余財産がないと見込まれる」ことが前提となり(法法59B)、その際には、申告書に「残余財産がないと見込まれることを説明する書類」(説明書類)を添付する必要があるとされ(法法59C、法規26の6三)、この説明書類について法人税基本通達では、例えば実態貸借対照表が該当するとしている(法基通12−3−9)。
 この点につき、質疑応答の問10「残余財産がないと見込まれることの意義」では、破産、特別清算、民事再生、会社更生、一定の私的整理によった場合には、各手続きで作成される法的整理開始の決定書の写し、債務超過であることを示す書面などを説明書類に含めると整理し、必ずしも実態貸借対照表を作成する必要はないと取り扱っている。
 もっとも会社法上、特別清算は、@清算の遂行に著しい支障を来たすべき事情がある場合(例えば、債権者が多数で利害関係が複雑な場合、通常の清算手続では長い年月を要する場合など)や、A債務超過の疑いがある場合に、その開始を命ずるとしているが(会社法510)、@のみを理由として特別清算を行うケースでは「残余財産がないと見込まれる」かどうかの判断が難しいため、その手続きで作成する「特別清算開始決定書の写し」は説明書類として取扱われない。別途、例えば実態貸借対照表等を作成し、説明書類として申告書に添付して提出する必要がある。


◆ 一定の私的整理によらない第二会社方式 実態貸借対照表等の作成も


 これに加え、問10の注1では、一定の私的整理(企業再生支援機構、RCC、中小企業再生支援協議会、私的整理ガイドライン、事業再生ADR)の下、いわゆる「第二会社方式」(赤字企業の優良事業を受皿会社に分離するとともに、本体の赤字部門を清算等する事業再生手法)で事業再生を行う場合にも、各手続きで作成される一定の書面を説明書類に含める旨を示しているが、一定の私的整理によらずに「第二会社方式」で事業再生を行う場合には、債務超過であることが確実に検証されているかどうかなどの判断が難しいため、やはり実態貸借対照表などを作成する必要があるので留意されたい。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3136号)
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