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M&Aニュース

                                               2010年11月08日
 




 

   
国税庁 質疑応答事例を更新、62事例を追加
 
     
 
                    
          

     
 

 国税庁は10月22日、納税者からの照会に対して回答した事例等で他の納税者の参考となるものを税目別に掲載している『質疑応答事例』を更新した。
 平成22年7月1日現在の法令・通達に基づいて更新されており、同時に、所得税をはじめ、源泉所得税、相続・贈与税、財産評価、法人税、消費税について、新たに62の質疑応答事例が追加されている。
 この質疑応答事例集には、多くの照会事例の中から、他の納税者にも参考となるものが選ばれて掲載されるが、税制改正や通達改正などに伴って寄せられたものだけでなく、過去の照会で回答され公表されなかったものでも、重要と考えられるものが洗い出され、掲載されることもあるので留意しておきたい。


 ◆ 法人税


 法人税関係では「子会社を整理・再建する場合の損失負担等」、「保険料等」、「組織再編成」などで22項目が追加された。
 法人税基本通達9−4−2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)の取扱いに関するものでは、当期において累積欠損金を抱えることとなる子会社に対する支援、不確定なままの再建計画に基づく要支援額の合理性、被支援者に対する要支援額の算定など10事例。
 このうち、グループ法人税制については、「28完全支配関係にある内国法人間の支援損」を設け、平成22年度改正後の法人税法37条(寄附金の損金不算入)2項の規定により損金不算入とされたものは、完全支配関係にある法人間の寄附金であり、合理的な再建計画に基づく経済的利益の供与は寄附金に該当しないことから同項の適用はなく損金参入となると説明された。
 組織再編成関係で新しい事例といえるのは、特例民法法人間の合併に関する2事例、そのほかでは、住宅瑕疵担保責任保険の保険料等の取扱い、認可保育施設の育児サービス事業に係る収益事業の判定が最近の照会事例として掲載されることになった。


 ◆ 財産評価関係


 財産評価関係では、「広大地の評価」が項目に追加され11事例が掲載された。広大地評価の取扱いの改正が行われた平成16年の「「財産評価基本通達の一部改正について」のあらましの「広大地の判定に当たり留意すべき事項(情報)」において示されていた内容が整理され、質疑応答事例に収録されることになった。
 「広大地の地積が著しく広大であるかの判定」、「公共公益的施設用地の負担の要否」、「中高層の集合住宅の敷地用地に適しているものの判断」、「市街化調整区域内における広大地の評価の可否」のほか、資産評価企画官情報で計算例とされていた事例も取り込まれている。
 一方、新たな事例として加えられたのは、「広大地の評価における「その地域」の判断」、「中高層住宅等の範囲」、「区分地上権に準ずる地役権の目的となっている広大地の評価」の3事例。
 交付資産の簿価に相当する金額の利益積立金額を減算する(法令9@八)。そのため、「利益積立金1,000/親法人株式1.000」と処理することになろう。
 一方で、被現物分配人である親法人は、移転を受けた資産が自己株式であるため、その自己株式の簿価に相当する金額を資本金等の額から減算するとともに(法令8@十八)同額が利益積立金の増加となるため(法令9@四)、「資本金等の額1,000/利益積立金1,000」と処理することになろう。


 ◆ 非適格現物分配は譲渡損益 認識とともに源泉も必要


 逆に、現物分配が非適格である場合は、現物分配法人は譲渡損益を認識するとともに源泉徴収も要されることになる。
 そのため、上記と同様に1株当たり帳簿価額100・時価120の親会社株式10株を、子法人が配当として親法人に引き渡した場合、現物分配法人である子法人は、帳簿価額と時価との差額を認識するため「未収金1.200/親法人株式1.000・譲渡益200」としたうえで交付した株式の価額(時価)の利益積立金を減算するため「利益積立金1.200/未収金1,200」などと処理することになろう(法令9@八)。
 一方で、被現物分配法人である親法人は、取得した自己株式の対価に相当する金額(時価)を資本金等の額から減算するため、「資本金等の額1,200/受取配当1,200」と処理することになるだろう(法令8@十八)。
 なお、税務上、自己株式取得=みなし配当が生じるものと考える向きもみられるが、みなし配当が生じるケースは、株主法人がその株式の発行会社に対して”金銭又は金銭以外の資産を対価として発行法人株式を譲り渡した場合”であり、本件のようなケースは対価を交付していないため、配当そのものであるといえよう。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3137号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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