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M&Aニュース

                                               2010年11月25日
 




 

   
関係法人株式等に係る配当等の負債利子控除の
                 計算誤りに注意
 
     
初年度は前期未関係法人株式等の再計算が必要なケースも
     
        

     
 
 法人が、発行済株式等の25%以上を6ヶ月以上保有している関係法人株式等から配当を受けた場合、負債利子の額を控除したうえで益金不算入額を計算することになるが、平成22年改正の適用初年度においてこの負債利子の額を総資産按分法により算出する場合、前期末の関係法人株式等の帳簿価額から完全子法人株式等の帳簿価額を除く必要がある点に留意したいところだ。
 通常、別表八(一)・受取配当等の益金不算入に関する明細書では、前期の「当期末現在額」の「関係法人株式等の帳簿価額」と、当期の「前期末現在額」の「関係法人株式等の帳簿価額」の金額は一致するのだが、適用初年度は、前期と当期の関係法人株式等の範囲が異なる。そのため、前期の関係法人株式等に完全子法人株式等が含まれている場合にはこれを除く必要があるのだ。
 仮に完全子法人株式等の帳簿価額を控除しなかった場合、負債利子控除の金額が大きくなり課税される所得金額が増えてしまうことになるので注意したい。


◆ 関係法人株式等から完全子法人株式等が除かれる


 周知のとおり、平成22年度改正では、配当等の計算期間を通じて完全支配関係がある子法人からの配当は、負債利子控除をせず全額益金不算入とすることができることになった。これまでは、連結納税制度を採用していない場合、たとえ100%の関係があっても負債利子控除の計算をする必要があったが、改正により完全支配関係がある子法人からの配当であれば負債利子控除の計算が不要となる。
 他方で、発行済株式等の25%以上に相当する数又は金額の株式等を、事業年度の終了の日以前6ヶ月以上引き続き有している「関係法人株式等」に係る配当等については、従前どおり負債利子控除の金額を計算したうえで益金不算入額を算出することになるのだが、上記の改正を受けて、関係法人株式等の範囲から完全子法人株式等が除かれている(法令22B)、22の3@一)。


◆ 前年の関係法人株式等からも完全子法人株式等の控除が必要


 ところで、関係法人株式等に係る配当等の益金不算入額を計算する際に負債利子控除の金額を総資産按分法により計算する場合、22年度改正の適用初年度(平成22年4月1日以後最初に開始する事業年度)は、別表八(一)の「前期末現在額」の「33 期末関係法人株式等の帳簿価額」欄の記載について誤りが生じやすいのであらかじめ注意が必要だ。
 というのも、先に述べたとおり、平成22年度改正で関係法人株式等の範囲から完全子法人株式等が除かれたため、平成22年3月期(3月決算法人の場合)の別表八(一)「当期末現在額」の「30 関係法人株式等の帳簿価額」と、平成23年3月期の別表八(一)「前期末現在額」の「33 期末関係法人株式等の帳簿価額」との金額が異なるケースがあるためだ。
 平成22年3月期において関係法人株式等の帳簿価額のなかに、完全子法人株式等の帳簿価額のなかに、完全子法人株式等の帳簿価額が含まれていない場合は特に影響はないが、完全子法人株式等の帳簿価額が含まれている場合には、完全子法人株式等の帳簿価額を控除する再計算が必要となる。
 仮に、完全子法人株式等に係る帳簿価額を含めて受取配当等の益金不算入額の計算を行うと、負債利子控除の額が大きくなってしまい、結果として課税される金額が大きくなってしまうのでくれぐれも注意が必要だ。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3140号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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