運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2010年11月29日
 




 

   
100%グループ間で譲渡した子会社株式の
                   譲渡損益の扱い
 
     
     吸収合併・解散により譲受側で消滅した場合は戻入れ
     
        

     
 
 完全支配関係がある法人間で子会社株式(譲渡損益調整資産)を譲渡した場合、譲渡法人では譲渡損益を繰り延べ、譲受法人でその資産を再譲渡等した際には、譲渡法人では繰延べた損益を戻し入れることとなる。
 この扱いは、経営戦略の一環として、完全支配関係がある法人間で子会社株式を譲渡した後、譲受法人側でその子会社を吸収合併や残余財産確定により消滅させた場合も同様で、その子会社株式の消滅時点で戻し入れを行うこととなる。


◆ 100%子会社株式が合併で消滅した場合


 例えば、X社の100%子会社としてA社とB社がある前提で(全て3月決算法人)、A社がB社に対し、A社の100%子会社であるC社(X社の孫会社)株式全てを譲渡したとする。この場合、A社ではC社株式に係る譲渡損益は繰延べられる(法法61の13@)。
 その後、23年4月1日にB社(合併法人)がC社(被合併法人)を吸収合併した場合、A社ではC社株式に係る譲渡損益を戻し入れる。法人税法上、譲渡損益調整資産の「譲渡」の範囲には、有価証券を「譲渡」した場合だけでなく、有価証券が「消滅」した場合なども含まれるため、合併の時点で戻し入れを行う(法法61の13A)。
 もっとも、A社における戻入れは、C社が合併で消滅する23年3月期(=合併の日の前日の属する期)ではなく、C社が合併で消滅した後の24年3月期となる。合併日(23年4月1日)の前日(23年3月31日)までC社は存続し、合併日でC社は消滅するからだ。


◆ 株式保有比率が100%未満の場合


 上記例では100%子会社株式を譲渡した場合を前提としているが、仮にC社株式の保有比率が100%未満であっても、戻し入れの時点は同様となる。法人税法上、譲渡損益調整資産に含まれる有価証券は、売買目的有価証券を除くとされているだけで(法令122の14@)、その株式保有比率などは特設関係がない。つまり、C社株式の保有比率が1%であるか、99%であるかなどに関わらず、C社が消滅した場合には、A社で戻し入れが行われる。


◆ 子会社株式が解散で消滅した場合


 子会社を解散した場合も同様だ。例えば、X社の100%子会社としてA社とB社がある前提で(全て3月決算法人)、A社がB社に対し、A社の100%子会社であるC社の株式全てを譲渡した場合、A社ではC社株式に係る譲渡損益は繰延べられ、その後C社が解散し、23年3月31日に残余財産が確定した場合、A社ではC社株式に係る譲渡損益を戻し入れる。
 A社における戻し入れは、C社の残余財産確定日(23年3月31日)の属する23年3月期ではなく、残余財産確定日の翌日(23年4月1日)の属する24年3月期となる。この戻し入れのタイミングについて、「残余財産確定日」ではなく、「残余財産の分配日」の属する期で行うものとみる向きもあるが、解散法人の事業年度が「残余財産確定日」までとされていることを踏まえると(法法14@二十一)、このような整理となる模様だ。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3140号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo