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M&Aニュース

                                               2010年11月30日
 




 

   
適格現物分配に伴う繰越欠損金等の利用制限の特例
                   
 
     
    移転資産の含み益の額が繰越欠損金等の制限の上限に
     
        

     
 
 組織再編税制の一形態として設けられた適格現物分配制度では、他の再編と同様に、現物分配法人と被現物分配法人との支配関係が5年超継続している状態にない場合は、被現物分配法人の繰越欠損金や特定資産譲渡損失について「ないものとする」利用制限が設けられている。
 しかし、この制限措置については特例が設けられており、確定申告書への明細書の添付等を要件に、現物分配によって切り捨てられる繰越欠損金等を含み益の金額の範囲内とすることができることとされた。併せて現物分配資産が含み損のある資産である場合には繰越欠損金等は切捨てられない措置も設けられている。


◆ 支配関係が5年継続していない場合は制限の対象


 適格現物分配は、現物分配法人と被現物分配法人が現物分配の直前において完全支配関係を有していれば適格要件を満たすことになるが、再編に伴う繰越欠損金等の利用については、現物分配は行った日の属する事業年度開始日前5年前の日等から継続して支配関係がない場合は、被現物分配法人の繰越欠損金や特定資産譲渡等損失を切り捨てる制限が設けられている(法法57C)。
 これは、他の適格再編と同様に現物分配により移転した資産の含み益と現物分配を受けた法人の欠損金を相殺する租税回避行為を防止する観点から設けられたようだ。
 制限される繰越欠損金等は、被現物分配法人の繰越欠損金のうち、現物分配法人と被現物分配法人との支配関係が生じた事業年度前に生じた金額と、支配関係が生じた事業年度以後に生じた特定資産譲渡等損失(支配関係発生日前から有していた一定の資産を譲渡等したことによる損失(法法
62の7A)だ。


◆ 現物分配資産の含み益の額が繰越欠損金等の切捨て金額に


 ただし、他の再編の繰越欠損金等の制限等とは異なり、適格現物分配については切り捨てられる繰越欠損金の範囲を移転を受けた資産の含み益の範囲内とする特例が設けられている(法令113DE)。
 具体的には、移転を受けた資産に含み益がある場合、含み益の金額が被現物分配法人の支配関係発生前の繰越欠損金額以下である場合は、支配関係前の繰越欠損金のうち移転資産の含み益までの金額が利用制限を受け切り捨てられることになる。
 また、移転を受けた資産の含み益の金額が、支配関係前の繰越欠損金額を超える場合は、支配関係前の繰越欠損金の全額が切り捨てられたうえで、支配関係後の特定資産譲渡等損失額について制限を受けることにあんる。
 一方で、現物分配資産に含み損がある場合には、被現物分配法人の繰越欠損金等について利用の制限はされない。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3141号)
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