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M&Aニュース

                                               2010年12月01日
 




 

   
養老保険利用した租税回避スキームに対応
                   
 
     
  平成23年度税制改正 一時所得計算で控除する保険料を明確化
     
        

     
 
 養老保険を利用して法人から役員に資金を移転する租税回避があることから、課税の適正化を図るため所得税法令の見直しが検討される。
 問題とされたのは、死亡保険金の受取人を法人、満期保険金の受取人を法人役員とする法人契約の養老保険。保険期間が3年又は5年と短いもので、一時所得の計算上、役員が負担した保険料だけでなく、法人が損金算入した保険料をも控除することで、きわめて少ない所得税負担で資金を移転させるスキームだ。
 実際にこうした租税回避的スキームが訴訟となっていて、国側が最高裁に上告している事案もあるところだが、今後、保険金から控除できる事業主負担の保険料は、給与課税が行われたものに限る旨が明確化される。


◆ 満期保険金から法人負担保険料も控除


 資金移転の事例は、法人が契約者、役員を被保険者とする養老保険で、死亡保険金の受取人を法人、満期保険金の受取人を役員とするもの。保険料の2分の1を損金算入、2分の1は役員への貸付金と処理され、2分の1部分を役員が負担した形となっていた。
 法人契約の養老保険では、死亡保険金を遺族、満期保険金は法人とするのが一般的だが、事例はその逆の契約形態。さらに3年又は5年という短い保険期間で、法人税基本通達が想定していない形態となっている。
 満期保険金を受け取った役員は、一時所得の計算上、自らが負担した保険料の2分の1相当額だけでなく、法人が損金算入した保険料も控除して申告。これに対し、法人が損金算入した保険料相当額の控除は認めないとして、所得税の構成処分が行われ訴訟となった。


◆ 所得税法令の文言重視する判決


 裁判では、地裁、高裁ともに、法人が損金算入した保険料部分を含めて控除した納税者の計算が支持された。
 所得税法34条2項からは、収入を得た本人が負担した部分しか控除できないのか、他者が負担した部分も含まれるか明確でないこと、施行令183条2項2号は、保険料の総額を控除できると規定していること、通達では、一時所得の計算で控除できる保険料の総額には、支払を受ける者以外が負担した保険料の総額も含まれるとされていることなど、法令の規定の文言が重視された判決となった。
 また、死亡保険金を法人、満期保険金を従業員とする契約形態については、必ずしも想定不可能なほど不自然・不合理なものとはいえず、法人が損金算入した保険料の控除を認めると、ほとんど税負担を負わずに法人から資金の移転を受けることができるが、法令上許された契約を締結した結果だとした。
 こうした事例があることからも、法人契約の生命保険等の満期保険金に係る一時所得の計算で控除できる法人負担の保険料は、従業員等に給与課税がされたものに限る旨を法令で明確化する必要があるということだ。





       (以上参考;週刊「税務通信」第3141号)
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