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M&Aニュース

                                               2010年12月02日
 




 

   
日本・ベトナム租税協定 
       みなし外税控除の適用期限が間近に
                   
 
     
  延長なしと見る者が大半 3月決算法人なら今期で適用終了か
     
        

     
 
 人口8千万人強のベトナムには、大企業に限らず中小企業も多く進出し、その中には税負担軽減のメリットを享受できる「みなし外国税額控除」の適用を受けている企業も多い。ただ、その適用期限は2010年12月末と間近に迫っている。現時点では、適用期限切れになるか否かは不明だが、実務家の多くは、延長はないと見ている模様だ。


◆ みなし外国税額控除の仕組み


 「みなし外国税額控除」とは、発展途上国の”開発援助”を目的とした制度。
 例えば日本のA社のベトナム支店Bが100の所得を獲得したとする(税率は日本で40%、ベトナムで10%と仮定)。この場合、日本・ベトナム租税協定に則れば、本来的には、A社は日本で30を税負担する。二重課税を回避するため、日本でA社に課される税額40(=100×40%)から、ベトナムでB支店が支払った税額10(=100×10%)が控除される直接外国税額控除の仕組みだ。
 しかし、ベトナムでは外資企業への投資優遇措置により、上記の税額10を負担しないこともあるが、この場合であっても、同協定には「みなし外国税額控除」の条項があるため、A社の税負担額は30で済む。B支店がベトナムで税負担をしなくても、10の税負担をしたものと「みなし」て、日本で課される税額40から「外国税額」10を「控除」するわけだ。一見すると、「みなし外国税額控除」という呼称から二重課税排除を目的とした制度のように誤解されることもあるが、その実質は、特定の発展途上国への投資を促進するため、日本側が減税の形で費用負担している制度である。


◆ 廃止・縮減の流れは変わらず


 とはいえ、同制度は、平成8年、平成14年の政府税調の答申等で「税の公平性」の基本原則から外れるとの指摘等と受け、廃止・縮減の方向にある。
 現在でも、ベトナムやフィリピンなどの発展途上国との間では「みなし外国税額控除」を設けているが、基本的には時限措置となっている。相手国の国内法改正により、自主的に廃止された例もある(例えばインドネシアの場合、国際機関から援助を受ける代わりに、財政赤字解消のため外資企業への東氏優遇措置を廃止⇒外資にも課税⇒「みなし外国税額控除」が不要⇒自主的に廃止、となった)。


◆ ベトナムは2010年12月31日が期限


 現行の日本・ベトナム租税協定では、「みなし外国税額控除」の控除率は10%で、201012月31日を適用期限としている(租税協定22BCD)。仮に、適用期限切れとなった場合、3月決算法人であれば、2011年3月期(今期)までは適用があるが、20123月期(来期)からは適用がなくなる。
 同制度の延長があるかどうか気にする向きも多いようだが、現時点では、そのような外交交渉があるのか否かも含めて不明。実務家の間では、これまでの経緯を踏まえれば、延長される可能性は少なく、廃止の可能性が濃厚と見る者が多い。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3141号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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