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M&Aニュース

                                               2010年12月03日
 




 

   

         租税条約の成立過程
                   
 
     
 
     
        

     
 
 近頃、租税条約の改正や締結に係る交渉が急ピッチで進められている。香港のように初めて租税協定が署名されたもののほか、オランダのように統括会社を置く日本企業にとって気になるもの、バミューダのように国際的な租税回避対策を念頭においたもの、サウジアラビアのように資源外交の整備目的のものなど注目される交渉は少なくないが、いずれも二重課税回避と脱税防止を目的としている点では変りない。
 日本にとって初めての租税条約は戦後締結された「日米租税条約」で、22年10月末現在では、48条約、59カ国・地域で適用されている(旧ソ連、旧チェコスロバキアとの条約が継承されている関係で、条約数よりも適用国・地域数の方が多い)。
 租税条約の発効までの手続きは、@条約交渉開始、A基本合意、B署名、C国会承認、D公文の交換、E発効・公布という流れで進められる。つまり、互いの国の「国会の承認」を得た上で、外交上の「公文の交換」を行った後、発効(適用開始)となるため、一般的にはBの署名からEの発効まで1年程度の期間を経ることが多いようだ。
 ちなみに、憲法上、租税条約は「法律」ではなく、「予算」に準じたものと規定されている(憲法60、61)。つまり、現在のように衆参国会がねじれている状況下で、仮に条約案が衆議院は通過したが参議院で「30日以内」に議決されない場合には、参院で否決されたものとみなし、衆議院優越の原則により衆議院で3分の2以上の賛成で再可決するとしている点と比べ(憲法59)、スムーズに手続きが進むよう配慮されている。国内だけでなく、外国との信用問題などがある関係で、予算並に重要な位置付けを与えられている。
 なお、租税条約に係る規定をみると、租税条約、租税協定、議定書といった名称で表示されているが(租税条約と租税協定は同じもの)、これは基本的に、条約内容の全面改正の場合には「新租税条約」を結び、一部改正の場合は「議定書」を結ぶことが多いようだ。新たな条約等の締結では「○×租税条約」、従前からある条約を全面改正する場面では「○×新租税条約」、条約を一部改正する場面では「○×議定書」と表記する。議定書=税制改正法案の原文のようなものとイメージすればわかりやすいだろう。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3141号)
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