2010年12月17日
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TOBのみなし配当課税特例が今月末で経過措置終了
損益通算制度の適用で不利益は生じない模様
『上場株式等の自己株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例』は、個人が公開買付けに応じて上場株式等と譲渡した場合、みなし配当の該当部分が譲渡益課税されるものだが、この特例制度が廃止され、経過措置も今月末で終了する。
ただ、上場株式等については、株式の譲渡損失と配当所得との損益通算制度が適用できることから、株式の譲渡損もしくは譲渡益どちらが生じたとしても、この特定制度の廃止による影響はない模様だ。
◆ 特例制度はみなし配当部分を譲渡益として所得を計算
廃止される特例制度(旧措法9条の6)は、個人が上場会社等の自己株式の公開買付けに応じた際に生ずるみなし配当課税を行わないというもの。つまり、交付を受けた金額が、交付の基因となった株式に対する資本金等の額を上回った場合、みなし配当課税ではなく、株式の譲渡益課税となる。
たとえば、取得価額400の上場株式についての公開買付けに応じた場合、交付金額が800、取得価額400に対応する資本金等が350の場合、450(=800−350)がみなし配当ではなく株式譲渡益となり、取得価額と資本金等の額の差額50(=350−400)が株式譲渡損となるため、結果として株式譲渡益400が課税される。
従前は、みなし配当として課税されると、配当部分を総合課税で行う場合、税率等の影響で不利になるケースがあるほか、譲渡損も生じる場合、配当課税されているにもかかわらず、株式譲渡損が生じる状況が生じたため、特例制度が設けられていたようだ。
◆ 源泉徴収選択口座での対応であれば確定申告不要に
現在は上場株式等については、株式譲渡損と配当所得が損益通算が可能となった。みなし配当と株式譲渡損が同時に生じても不利益は生じないことから、特例制度は平成22年12月31日で廃止される(22年改正法附則51条A、改正措令9条)。今後は、上場株式等の公開買付けに応じた場合、みなし配当と株式の譲渡益(譲渡損)を損益通算したものが課税される。
従前の例では、交付金額と資本金等の額の差額450の部分が譲渡益課税ではなく、みなし配当課税となり、譲渡損50と損益通算すると差額400が配当課税されることになる。
さらに平成22年から上場株式等に係る配当については、特定口座の源泉徴収選択口座で損益通算できることになった。公開買付けに応じて、源泉徴収選択口座内でみなし配当課税と譲渡損が生じた場合も損益通算され、確定申告をしなくても済むとのことだ。
(以上参考;週刊「税務通信」第3143号)
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