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M&Aニュース

                                               2010年12月20日
 




 

   

 グループ法人・資本関係取引等税制Q&A 2

                   
 
     
  期限切れ欠損金額、株式の簿価を超える寄附金の寄附修正等 
     
        

     
 
<期限切れ欠損金額と再編等で切り捨てなれた欠損金>
Q6 清算中の法人A社は、8年前にB社を吸収合併した際に繰越欠損金の一部が切り捨てられました。現在、A社は債務超過の状態にあり残余財産も見込まれないことから、清算中の事業年度においていわゆる期限切れ欠損金額を損金の額に算入しようと考えられているのですが、合併した際に切り捨てられた繰越欠損金は、期限切れ欠損金額の金額の計算上考慮する必要はありませんか。復活することはあるのでしょうか。

A6 期限切れ欠損金額とは、清算中に終了する事業年度(適用年度)の前事業年度以前の各事業年度から繰り越されてきた欠損金額の合計額から、適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入した青色欠損金額等を控除した金額です(法59B、法令118)。
 もともと、再編等により切り捨てなれた繰越欠損金は、税務上「無いもの」とされるこのことからすると、残余財産がないと見込まれた場合に復活する期限切れ欠損金額にも、当然に含まれないことになります。これは、連結納税の加入等に伴い切り捨てられた繰越欠損金も同様です。
 したがって、合併等により切り捨てられた繰越欠損金は、期限切れ欠損金額の計算上考慮する必要はありません。
 なお、前事業年度以前の事業年度から繰り越されてきた欠損金額については、当該適用年度における法人税別表五(一)の期首現在利益積立金の合計額として記載されるべき金額のマイナスの符号をとった金額とすることが可能とされています(法基通12−3−2)。


<株式の簿価を超える寄附修正と別表五(一)の記載>
Q7 当社の100%子法人A社は、同じく当社の100%子法人であるB社へ1,500万円を寄附しました。
   株主である当社は、A社とB社の株式の帳簿価額について寄附修正を行うことになりますが、仮にA社株式・B社株式の帳簿価額が1,000万円である場合、寄附修正を行うことによりA社株式の帳簿価額が△500万円となってしまいます。A社株式については、帳簿価額がゼロになるものとして寄附修正を行い、別表五(一)に利益積立金額の減1,000万円を記載することになるのでしょうか。

A7 完全支配関係がある法人間で寄附金の授受が行われた場合(寄附修正事由が生じた場合)、株主法人は、寄附金の授受を行った法人の株式の帳簿価額の修正を行わなければなりませんが、寄附金の額が、寄附の支出法人の株式の帳簿価額を上回った場合には、税務上は、マイナスの帳簿価額が生じることになります。
 これは、寄附修正に係る利益積立金額の規定上、「受贈益の額に持分割合を乗じて計算した金額から寄附金の額に持分割合を乗じて計算した金額を”減算した金額”」を加算しなければならないこととされているためです(法令9@七、9の2@五)。
 寄附金の授受を行った法人の株式の帳簿価額については、この利益積立金額の加算額と同額を寄附修正事由の生ずる前の帳簿価額に加算(利益積立金額がマイナスの場合は減算になります)することとされています(法令119の3E)。
 つまり、、”減算した金額”とは”控除”とは異なり、ゼロを限度とするものではないということです。そのため、本件の場合は、利益積立金額について別表五(一)の「当期減」欄に「A社株式1,500万円」を「当期増」欄に「B社株式1,500万円」を記載することになります。


<100%グループ法人間の出向と格差補填>
Q8 100%法人間で出向に係る給与負担金を支出した場合、株主法人は寄附修正が必要であるとの説明がありました。
 当社(出向元法人)は、100%子法人である出向先法人の給与と当社の給与に格差があるためやむを得ず格差補填金を支払っています。このような状況にある場合も、格差補填金は寄附金とされ、株主法人である当社においては寄附修正が必要となるのでしょうか。

A8 出向先法人と出向元法人との給与に格差があることにより出向者に対する給与の格差補填をした場合、出向元法人から出向先法人への贈与の性格はなく出向元法人と出向者との間の雇用契約に基づいて支払われているのであれば、損金の額に算入できることとされています(法基通9−2−47)。
 グループ税制の寄附制度の創設により、100%法人間で寄附金の授受が行われた場合、支出法人は損金不算入、受領法人は益金不算入とすることとされましたが、寄附金の意義そのものについては改正されていません。
 そのため、給与の格差補填に合理性がある場合には、これまでどおり寄附金とはならず、結果として株主法人においても寄附修正も起こり得ないことになります。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3143号)
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