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M&Aニュース

                                               2010年12月22日
 




 

   

 IFRSへの移行、「コンドースメント・アプローチ」で

                   
 
     
         SECの副主任会計士スタッフがコメント 
     
        

     
 
SEC(米国証券取引委員会)は12月6日、AICPA(米国公認会計士協会)の全国大会(ワシントンD.C.)で講演した、副主任会計士ポール・ベスウィック氏のスピーチ内容を公表した。当然、個人的な見解という断りを入れての発言であるが、IFRS(国際会計基準)に対してかなり冷静な受け止め方をしているようだ。この立場を採れるのはSECという市場の番人だからであろうか。時間をかけてでもより良い基準を完成させていこうという意思が感じられる。以下、IFRSに関する部分を抜粋して紹介する。

 (日本ではいわゆるIFRS全面的受入であるアダプションがなされるかどうかという議論だが)限られた国しか直接IFRSに向かうことはないだろう。2011年からIFRSに移行する予定のインドは、ある例外に対して正当な理由が存在するのであれば、IFRSへのコンバージェンス・アプローチを採用し、IFRSを完全にアダプションするわけではない。
 私としては、米国資本市場がIFRSに移行するべきかどうか、またどうやって移行すべきかの結論に至っていない。10月のSECのアップデートにおいて、多くの国ではコンバージェンスもしくはエンドースメント・アプローチのどちらかを取るであろうことを強調した。
 個人的な意見としては、もし米国がIFRSに移行するのであれば、コンバージェンスとエンドースメントの間のようなアプローチ(「コンドースメント・アプローチ」)が適切であろう。では、どうやったらこのアプローチが機能するのか?
 まずは、U.S.GAAPは存在し続ける。そしてIASBとFASB(米国財務会計基準審議会)はMOU(両基準の収斂に向けたロードマップに関する覚書)にある主要なプロジェクトを終わらせる。さらに、FASBはいかなる新たなプロジェクトも開始することはない。むしろ、新たな優先順位表を作成し、FASBがIASBのアジェンダに載っていないものでも時間をかけて既存のU.S.GAAPをIFRSにコンバージェンスしていく。これは第二のMOUを作成するという意味ではなく、むしろ個々の基準ごとに、既存のIFRSが米国資本市場にとって適切かどうかを確認することが必要であろう。
 同時にFASBはU.S.GAAPへの組入れのために、IASBが開発した新しい基準を検討していくプロセスを踏み、そしてU.S.の基準書に統合していく。このアイディアとしては、何らの修正なしにIASBが開発した基準を組入れることかもしれないが、FASBがエンドースするか組入れるかの検討を行うには要件が必要である。たとえば、IASBが開発した基準を組み入れるかどうかはアメリカの投資家もしくは資本市場のためになるかどうかである。
 米国資本市場に対するSECの責任を認識し、IFRSの組入れ前に高品質でなければならないということを確認するメカニズムを提供する必要がある。もし十分に高品質な新しいIFRSがU,S.GAAPに組入れられるならば、新しい差異の発生は起こらないであろう。
 ある特定の日(「ビッグ・バン・デート」)に既存の基準から代わりの基準へと移行することは、異なるコストと便益を示し、米国は他国と比較して異なったチャレンジになるということは重要である。U.S.GAAPとIFRSとの差異の評価は継続して行われるが、この二つの基準はその目的のレベルでは整合性がある。
 費用対効果の検討は現在U.S.GAAPを用いている多くの米国企業によって非常に異なる。米国企業に著しい負担を強いる前に、その便益を十分に議論し、理解する必要がある。特に、比較的小規模な企業や非公開企業においてである。
 まず、MOUプロジェクトに関するIASBとFASBの努力は高品質の会計基準を作りだす。もしこの努力によって高品質の会計基準が開発されるのではなく、締切日に間に合うようにすることが焦点であれば、SECとしては、どのようにして統一的な基準を完成させるかが非常に難しいとおろである。私としては、それが2011年6月を越してしまおうとも、ボードは基準が適切であるためには十分な時間を取るべきであると考えている。IASBとして特定の日までに基準を発行するというよりは、高品質の基準を発行することを望む。




       (以上参考;週刊「経営財務」第2996号)
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