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M&Aニュース

                                               2010年12月29日
 




 

   

国税庁 タックスヘイブン税制等に係る措置法通達発表

                   
 
    
    資産性所得や統括会社・統括業務に関する項目を新設
     
        

     
 
 国税庁は12月10日、平成22年度の租税特別措置法(法人税関係)の改正に対応した租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正を公表した(「租税特別措置法関係通達(法人税編)等の一部改正について(法令解釈通達)」平成22年11月30日付、課法2−7、課審5−33)。
 平成22年度措置法改正では、タックスヘイブン対策税制に関する適用除外基準の緩和や資産性所得の合算課税の導入などが行われており、適用除外基準に係る統括会社の統括業務に係る「専ら」の取扱いなどが明確になっている。


◆ 適用除外基準が緩和


 タックスヘイブン対策税制は、4つの基準に該当すると適用除外され、合算課税は行われない(措法66条の6B)。4つの基準のうちの「事業基準」では、主たる事業が株式等の保有である特定外国子会社等は基準を満たさない。しかし、22年度改正において、主たる事業の株式等の保有である特定外国子会社等から”被統括会社の株式等の保有を行う統括会社”が除外されることになった。
 改正ではさらに、適用除外基準を満たしても、保有割合10%未満株式の配当等など、資産性所得が一定額を超えると、資産性所得合計額である部分適用対象金額を持分割合で按分した部分課税対象金額が合算されることになった。


◆ 「専ら」は他の業務との関係が明確に


 統括会社は、@複数の被統括会社に対して統括業務を行い、A本店所在地国に統括業務に係る事務所等の固定施設と、統括業務に必要と認められる専ら統括業務の従事する者を有していること、を要件としている。統括会社の統括業務とは、被統括会社との間における契約に基づき行う業務のうち、事業の遂行上欠かせない被統括会社の事業の方針の決定等に係るもので、被統括会社の収益性の向上に資するものと規定されている。
 取扱いでは、統括会社について、4つの適用除外基準のうち、「実体基準」(本店所在地国で主たる事業に必要な事務所等の固定施設を有していること)と、「管理支配基準」(本店所在地国で事業の管理や運営等を自ら行っていること)を判断する場合は、統括会社の統括業務を主たる事業として判断することを留意的に示している(措通66の6−16の3)。
 また、要件の1つの専ら統括業務に従事する者の「専ら」について、専門の統括部署があれば統括部署の従事者を有していること、専門の部署がなければ専属的に従事する者であること、としている(措通66の6−17の2)。


◆ 統括業務の「契約」は契約書類等の写しで


 統括業務についてはさらに、被統括会社の事業遂行上に枢要な業務であって、広告宣伝や情報収集等の補完的な業務は統括業務に該当しないことを留意的に示している(措通66の6−17の4)。ただ、統括業務を行っていても、広告宣伝等の補完的な業務をすること自体は問題とされないようだ。
 統括会社との間の契約に関しても、契約書や覚書などの形式的な書類があれば問題ないとされることが示されている(措通66の6−19の4)。


◆ 被統括会社の従事者は複数社で働く者も含まれる


 被統括会社は、本店所在地国において事業を遂行するのに必要な従事者を有してなければならない(措令39条の17@)。従事者について、判定会社とは別の会社も勤務しているという状況でも、従事者としてカウントすることとしている(措通66の6−17の2)。別の会社については、同一国内だけではなく、日本と中国、シンガポールとインドネシアなど別の地域の会社でも構わないとのこと。


◆ 資産性所得は各種収益のプラス部分の合計額


 資産性所得は、「保有割合10%未満株式等に係る剰余金の配当等の額の合計額から、配当等に係る費用の額を控除した残額」や「債券の利子の額の合計額からその利子に係る費用の額を控除した残額」「特許権等の使用料の合計額からその使用料を得るために要した費用の額の合計額を控除した残額」などの7種類の所得の合計額であるが、7種類すべて「収益の額から費用の額を控除した残額」となっている(措法66条の6C)。
 これら7つの所得については残額と規定していることから、部分適用対象金額はプラスの額の合計額であることが示されているほか、例えば、債権利子の合計額がマイナスである場合のマイナスと、特許権等の使用料のプラスの額との相殺といったような、各所得のマイナス部分は他の所得のプラス部分と通算できないことも留意的に示されている(措通66の6ー18の2)。
 mた、特許権等の使用料に関して、特定外国子会社等が自ら行った研究開発に係る特許権等の使用料は、関係書類を保存していれば除外される(措法66条の6C六、措令39条の17の2F)。自ら行った研究開発について、自社で研究開発の作業を直接行っていなくても、研究開発の委託先に対して、企画立案や指示、費用負担等をしている場合も該当することとしている(措通66の6−18の3)。


◆ 移転価格税制に関しては OECDガイドラインに基づいて改正


 移転価格税制に関しては、推定課税に係る文書化の明確化された(措規22条の10@一)。取扱いでは、比較対象取引の選定に当たって検討すべき諸要素(措通66の4(2)−3)の12項目のうち、「(11)政府の規制」が、「(11)政府の政策」と表現が改められ、法令や行政処分など具体的な内容が示されている。この改正は、「OECD移転価格ガイドライン」(第1章D.4政策の影響1.73)に基づいたものであるとのことだ。




       (以上参考;週刊「税務通信」第3144号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






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