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2007年01月10日
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海外資産の申告漏れ課税価格は1件当たり9,200万円に
国税庁 平成17年分の相続税申告事績・17事務年度の調査事績を公表
国税庁はこのほど、平成17年中の相続により提出された申告書に基づく申告状況を公表した。高齢化社会を反映して、被相続人数は平成16年を5%上回る108.3万人だったが、課税割合は平成6年以降で最低の4.16%。被相続人1人あたりの申告税額は2.553万円となった。
一方、平成17事務年度での相続税調査は14,218件で、その85%である12,119件に申告漏れが把握された。海外資産に関連する事案については237件に申告漏れがあり、このうちの58件が海外資産に係るもの。1件あたりの申告漏れ課税価格は全体では3.203万円だが、海外資産では9,214万円となっている。
相続税の課税割合は過去最低水準
平成17年中相続の申告に係る課税価格、税額等の概要が明らかとなった。被相続人の数は平成15年から100万人を超えているが、17年は108万人で昭和42年以降で過去最多となっている。ただし、相続税の課税対象となった課税割合については、地価の下落を反映して4.16%。直近の基礎控除引き上げ等が行われた平成6年分以降で最低の水準となっている。
ちなみに、平成6年の標準宅地平均額を100とした場合、17年は44で、相続財産に占める土地の割合も平成6年の70.9%と比較すると17年は50.4%。その一方で、現金・預貯金等と有価証券の割合は年々増加し、6年に17.7%だったのが33.8%となっている。
申告漏れの14.7%が重加算税の対象に
相続税の調査は前事務年度より458件多い14,218件について行われた。そのうち85.2%12.119件に申告漏れがあった。多額の申告漏れ事案は少なくなっているようで、申告漏れ課税価格は前事務年度並みの3,882億円、追徴税額からみても小粒になっていることが伺われる。
しかし、被相続人や相続人が海外に居住していたり、外資系銀行と取引のあるケースなど、海外資産に関連する事案についての調査事績によると、海外資産に係る申告漏れ課税価格は過去最高額の53億円、1件あたりの申告漏れ課税価格も、前事務年度の5,303万円から増加して9,214万円となっており規模が大きくなっている。
申告漏れとされた相続財産の種類別の構成をみると、現金・預貯金等と有価証券が全体の55%にある。こうした現金・預貯金が申告除外になっているとされるケースでは、現物割引債権の取引による多額の償還金を現金で保管し、自宅の地下倉庫に隠匿していた例や(申告漏れ課税価格3億5,600万円)、所得税申告から除外した不動産収入を税務署に申告していない金融期間で仮名・借名預金や現物割引債権で運用するなどしていた例((1)億5,000万円)がある。
いずれも、相続人は、被相続人の財産であることを認識しながらも、容易に発見されないと考えて申告から除外していたものだ。
申告漏れは海外資産関連事案で増加
海外資産関連事案では、会社役員がアメリカで所有していた賃貸用不動産による収入を現地の証券会社で運用していた事実が把握されたというケースがある(1億2,500万円)。一連の取引が海外で行われていて、国内への送金がなかったことから、発見されないと考えて申告から除外したものだ。
このほか、架空の贈与契約書等を作成し、被相続人の主宰法人に土地を贈与したように仮装して相続財産を圧縮していたケースや(4億9000万円)、死亡後に金銭借用書を作成して架空債務としていたケース(1億3,600万円)、多額の預貯金があったケースでは、相続開始直後の十数日間で遠隔地の金融機関ATMから現金を引き出し相続人名義にするといった隠ぺい工作を行い、基礎控除以下であるとして、無申告だったものもあった(4億2,300万円)
(以上参考;週刊「税務通信」第2947号)
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