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2007年01月22日
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タックスヘイブン税制の判定に、議決権と
配当金額の割合も
多様化する経済実態に対応して制度の適用対象範囲を見直し
平成19年度の税制改正では、外国子会社合算税制、いわゆるタックスヘイブン対策税制についても改正が行われることとなった。現在、タックスヘイブン対策税制の適用に関連し、課税当局との見解の相違が見られる事例もあることから、その改正内容が注目されるところだ。
今回の改正では、親会社の所得に合算される特定外国子会社の判定基準がこれまでの株式数によるものから、議決権(剰余金の配当等に関するものに限る)又は請求権の異なる株式を発行している場合には、株式の数の割合、議決権の数の割合又は、請求権に基づき分配される剰余金の配当等の金額の割合のいずれか多い割合で行われることとなった。
また、外国子会社合算税制の適用除外を受けるために必要な書類等の保存がない限り、適用除外が認められないことが明確化される措置も講じられる。
タックスヘイブン税制の合理化
タックスヘイブン対策税制については、これまでも多様化する経済取引、特に種類株式と呼ばれる多種多様な発行株式等に対応するため、外国関係会社の判定における発行済株式等について、「議決権のない株式等」が含まれている場合、また、「配当請求権のない株式等」が含まれている場合には、それらを除いたところで50%超の判定を行うとする制度の改正が、その都度行われてきた。
今回の改正では、その後の経済実態の動向を踏まえ、本来のタックスヘイブン対策税制の目的から、改めて制度の対象範囲の見直しが図られる。
現行制度では、株式の数の割合のみによって合算対象となる外国関係会社を判定していたが、改正により、議決権の異なる株式又は請求権の異なる株式を発行している場合には、株式の数の割合、議決権の数の割合、請求権に基づき分配される剰余金の配当等の金額の割合、のいずれか多い割合で行われることとなる。
これまで行われていた株式の数の割合による判定でも、「議決権のない株式等」についてはそれを除いたところで、その50%超を保有しているか否かの判定を行っていた。改正では、この判定方法を、例えば1つの株式に異なる数の議決権の総数に占める割合によって外国関係会社の判定を行うというもの。また、剰余金の配当についてはその金額の割合で判定を行う。そして、それらの中でいずれか割合の多いものにより外国関係会社の判定を行い、その最も割合の多いものが50%超えで、その外国関係子会社の租税負担割合が25%以下である場合には、タックスヘイブン対策税制が適用されることとなる。
これは、タックスヘイブン対策税制を適用する特定外国関係子会社の判定を、現在の経済実態に合わせたより合理的なものとすることを狙いとした改正だ。
適用除外に必要な書類の保存の明確化
また、この他にもタックスヘイブン対策税制の適用除外を受けるために必要な書類等の保存についても明確化が図られる。
現行の規定においても、制度の適用除外を受ける場合には、租税特別措置法の66条の6で除外適用がある旨を記載した書面を確定申告書に添付することや、除外費用のあることを明らかにする書類その他の資料を保存することが規定されている。また、措置法通達66の6−19「適用除外の特定外国子会社であることの証明」においても、ばっぴょう17の(2)の様式による記載や、「その適用があることを明らかにする書類その他の資料」につちえ明らかにされているが、今回の改正ではこれらの規定をより明確にすることとなるようだ。
(以上参考;週刊「税務通信」第2950号)
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