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                                               2007年01月31日

会社法に対応して所得税基本通達を改正


配当基準日を収入すべき配当所得の時期と明確化   

  国税庁は、1月16日にホームページで「所得税基本通達の制定について」の一部改正についてを公表した。既に、平成18年度の税制改正に対応した通達改正は行われているが、今回公表された改正通達は、18年5月1日に施行された会社法に対応して改正したもの。旧商法や旧法令から引用され通達に用いられている用語の整理を行うと共に、会社法で制限が撤廃された剰余金の配当について、重要となる配当の基準日に対応した収入すべき時期等の明確化を図っている。

会社法対応の改正

 所得税基本通達は、昨年7月に18年税制改正に対応した改正を行っているが、今回の改正は、会社法に対応して、引用している用語の整理を行い、考え方や取扱いをあわせることが主だった内容になっている。
 また、経済実態の変化に伴い、通達そのものの廃止や見直しを行っている。


株主の平等原則について例示

 これまでの24−3(法人が株主に交付した株式に対する課税関係)24−11(転換社債型新株予約権付社債の権利行使により取得した株式の負債の利子)については、会社法の施行により旧商法の考え方が異なることとなり、通達の存在意義が薄れたことに伴い削除されている。
 また、23〜35共−8(株主等として与えられる場合)では、会社法の109条で明確化されている株式の内容及び数に応じた「株主の平等」原則について、注書きで「例えば」として、他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に該当するか否かの判定にかかる類意点を例示している。


JASDACに対応した改正も

 このほか、23〜35共−9「株式等を取得する権利の価額」については、いわゆるストック・オプションを付与された場合の経済的利益の額にかかり、権利行使日又は払込期日における株式又は新株等の価額の評価について定められている。今回の改正では、この通達で定められている店頭売買登録銘柄の株式を取得する場合の権利価額の取扱いについて、JASDACが「店頭売買有価証券市場」から「取引所有価証券市場」へ転換したことに対応し、経済実態にあわせた改正を行っている。


配当の基準日が収入すべき時期

 36−4(配当所得の収入金額の収入すべき時期)では、会社法の施行に伴う配当の基準日とその取扱いについて定められている。旧商法では、配当する時期や回数について制限されていたが、会社法では、剰余金の配当を時期を問わず行うことが可能となり、回数に制限もなく何度でも行うことができることとなった。このため会社が配当を支払う株主を特定する配当の基準日が重要となるわけだが、改正通達では、その配当所得の収入すべき時期を配当の基準日とし、その日が定められていない場合には、権限を有する機関がその剰余金の配当等を行う決議をした日とすることが定められている。


(以上参考;週刊「税務通信」第2952号)
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