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                                               2007年02月06日

信託法改正に伴う会計上の取扱いを検討


ASBJ 連結上の取扱いや親類型への対応が論点   

 企業会計基準委員会(ASBJ)はこのほど、「特別目的会社・信託専門委員会」において、信託に関する会計上の取扱いの検討を開始した。昨年12月に信託法が改正されたことをうけたもので、新たな信託法制の下で最低限必要な会計問題を解決することを目的とする。会計上の主な論点は、受益者の連結の範囲や改正信託法で明示された新たな信託の類型への対応など。これまでに開催された専門委員会では、論点の整理と今後の検討の方向性について審議が行われた。次回以降、具体的な検討が進められる予定だ。

信託を事業体とみて連結の範囲に含めるか?

  信託は、財産管理の制度であり、特定された財産(信託財産)が制度の中心となっている点に特徴がある。
 現行の信託制度の下での受益者の会計処理については、個別財務諸表上、受益者が多数の場合は、連結財務諸表原則における「会社、組合その他これらに準ずる事業体」とみて、受益権を評価している。
 一方、連結財務諸表上は、誰かの連結対象になるかという意味での「事業体」とは必ずしもみてこなかったのが現状のようだ。しかし、財産管理のための仕組みではなく、誰かの連結・持分法の対象として考えるべき場合には、連結財務諸表原則における「事業体」とみるべきとの考え方もある。(以下の「検討項目」@)。


誰が連結するのか?

 信託法では、信託財産の帰属は「受託者」であり、信託の目的達成のために必要な行為をする権限を有し、信託事務の処理やその他の行為をするとされている。
 しかし、金銭信託の合同運用などの場合、株式会社と同様に「所有(出資)」と経営(業務執行)の分離」が制度上図られている事業体とみなすことができることから、「受益者」が連結するかどうか判断することが適当との考え方もある(下の「検討項目」AB)。


受益者の連結の範囲に係る検討項目
@ 信託と連結財務諸表原則における「会社、組合その他これらに準ずる事業体」との関係について
A @における「考え方」の具体的な当てはめによる受益者の処理(自益信託を前提)
B 信託が連結財務諸表原則における「会社、組合その他これらに準ずる事業体」となる場合の連結


自己信託や事業信託などの会計処理も検討

信託に関する会計問題の検討では、上記の連結に係る論点の他、改正信託法で明示された新たな信託の類型への対応なども行う予定だ。
 主な検討項目は以下の通りである。


  • 受託者による会計処理の基準
  • いわゆる事業信託の会計処理
  • いわゆる自己信託の会計処理
  • いわゆる目的信託(受益者の定めのない信託)の会計処理
  • 会計上「有価証券」として取扱う範囲



(以上参考;週刊「経営財務」第2805号)
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