M&Aニュース

                                               2007年02月13日

非公開会社の事業報告

 3月期決算会社では、会社法の施行後初めて新規定による年度決算を迎える。
 その準備を進めるなか、非公開会社(譲渡制限会社)では、事業報告の記載事項について、判断に迷うケースがあるようだ。
 旧商法における営業報告書に代わって新設された作成書類である「事業報告」は、すべての株式会社に共通する記載事項のほか、会社区分(公開会社、会計監査人設置会社等)に応じて記載事項が規定されている(下表)。
 非公開会社に関しては、@株式会社の状況に関する重要な事項(計算書類及びその附属明細書並びに連結計算書類の内容となる事項を除く)(会施規118一)、A内部統制システムに関する決定または決議の内容の概要(会施規118二)を記載することが求められる。
 一方、公開会社は、上記@Aに加え、B株式会社の現況に関する事項、C会社役員に関する事項、D株式及び新株予約権等に関する事項の記載が求められる(会施規119〜123)。
 非公開会社で判断に迷うのが、@の記載事項のようだ。会社施行規則では、当該事項を記載すると規定されているのみで、具体的な記載内容は明示されていない。重要な事項を記載するものとし、その判断は、会社自身が行うことになる。
 また、旧商法における営業報告書の記載事項の多くが公開会社で記載が求められる「株式会社の現況に関する事項」(B)として整理されたことで、当該事項以外で何か重要な事項を記載することの誤解も生じているようだ。
 5月期以降の事例をみると、公開会社で求められるBの事項を記載しているケースが多く、また、全国株懇連合会から公表されている「事業報告モデル」を参考にして作成している事例も目立つ。
 会社法施行後の実務を見る限りでは、前年度までの営業報告書をベースに、Bの事項も含め全体で重要性の判断を行い、新会社法の規定に沿った記載を行っているようだ。

対象会社 記載事項
共通する記載事項 すべての会社 @株式会社の状況に関する重要な事項
A内部統制システムに関する決定または決議の内容の概要
記載事項の特則 公開会社 B株式会社の現況、C会社役員に関する事項、D株式及び新株
 予約権等に関する事項
公開会社(かつ社外役員
を設置している会社)
社外役員に関する所定の事項
会計監査人設置会社 会計監査人に関する所定の事項
支配に関する基本方針を
定めている株式会社
支配に関する基本方針など所定の事項
会計参与との間で責任限定
契約を締結している株式会社
責任限定契約の内容の概要

「投資のリスクからの解放」は、企業会計基準委員会(ASBJ)が昨年末に公表した「財務会計の概念フレームワーク」のキーワードの1つ。そこでは、純利益を「リスクから解放された投資の成果」と定義しているからだ。
 投資の成果がリスクから解放されるとは、その投資の目的に照らして、事前に期待されていた成果が現実のものになった(事実として確定する)ことをいう。換言すれば、投資の目的はより大きいキャッシュを獲得することにあるから、実質的にキャッシュ・イン・フローと同じとみなせるようなものを獲得したときに、投資の成果が確定したと考える。「投資の目的」に着目すれば、企業が保有する資産(や負債)は、事業投資と金融投資に大別することが出来る。事業投資とは、企業が事業の遂行を通じて成果を得ることことを目的にした投資。金融投資とは、もっぱら市場価格の変動によって利益を獲得することを目的にした投資。
 事業投資のリスクからの解放は、投下した資金が事業活動を通じて商品や製品に転換され、やがて外部との取引を通じてそれらがより大きなキャッシュ(現金や現金請求権)という形で結実したとき。一方、金融投資であれば、投資の目的は資産の市場における時価の値上がりを期待した資金の運用にあるから、値上がりが事実上のキャッシュの獲得とみなされ、投資の成果の達成とみなされる。


(以上参考;週刊「経営財務」第2806号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)





Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo