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                                               2007年02月27日

特殊支配同族会社申告書記載実例ケーススタディ


  
完全親子会社が所有する株式は『業務主宰役員関連者』に記載   

 特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度(法法35条)において、特殊支配同族会社に該当するかどうかの判定の1つに、業務主宰役員とその親族等の持株等割合の判定がある。
 今回の記載実例では、当該会社の親子会社や、第三者、役員でない親族など、持株等割合の判定に係る所有株式の記載方法について紹介していく。

 
持株等の割合90%以上が特殊支配同族会社の前提条件

 同族会社が特殊支配同族会社に該当するかどうかの判定には、まず業務主宰役員とその親族等で所有する持株等の割合で判定することになる。この判定では、当該会社が自己株式を所有している場合や、親会社子会社が所有している場合など、法人株主も影響が出てくる。そこで、今回は、関係法人が株式を所有している場合などについて、事例を基に紹介する。

自己株式の取り扱い:発行済株式数から除外

 事例は、表1の株主構成となっている同族会社で、この会社は自己株式を150株保有している。自己株式については、15年4月1日以後開始する事業年度から同族会社の判定からは除かれることになっているが(法法2条十)、特殊支配同族会社の判定でも同様に、自己株式は除くと規定している(法法35条、法令72条A)。
 このため事例では、『期末現在の発行済株式の総数又は出資の総額(1)』には、発行済株式総数2,000から、自己株式150を減算した1,850を記載することになる。


親会社や子会社の所有株式:90%支配会社の場合には判定に加わることに

 当該会社の親会社(子会社)につちえ、当該会社の業務主宰役員とその親族等、当該会社等で、親会社(子会社)の株式等を90%以上保有している場合(90%支配会社)には、その親会社(子会社)が所有する当該会社の株式も、持株等の割合判定に加えなければならず(法令72条@、A)、規定上、業務主宰役員関連者に該当するために『業務主宰役員関連者』の欄に記載する。『常務従事役員の別B』には、法人は取締役の資格がないことから(会社法331条)、「常務従事役員以外」に○を付けることになる。
 事例では、株式会社△▲について、○□株式会社の業務主宰役員財政一郎と、○□株式会社で株式会社△▲の株式を100%保有していることから、90%支配会社に該当するため、『業務主宰役員関連者』の『氏名又は法人名』に「株式会社△▲」、『株式数@』に「100」、『常務従事役員の別B』の「常務従事役員以外」に○を付ける。なお、法人であるため、「業務主宰役員との続柄」には何も記載する必要はない。


業務主宰役員の親族で役員でない場合:『同上以外の者』に該当

 業務主宰役員の親族等ではあるが、当該会社とは関係性のない別会社で働いている者や、当該会社で働いていたとしても役員ではない者は、業務主宰役員関連者には該当しないため(法令72条@)、常務従事役員割合の判定には加わることはない。しかし、業務主宰役員の親族等で役員でない者でも株式を保有している場合には、持株等割合の判定には加わる(法令72条B)。そのような者は『業務主宰役員グループに属する者』のうち、『同上以外の者』に記載することになる。
 事例では、財政一郎の長男で別会社に勤める財政三郎と、長女で○□株式会社の一般社員である財政四美が『同上以外の者』に該当するため、『同上以外の者』の『氏名又は法人名』に「財政三郎」、「財政四美」を記載し、『業務主宰役員との続柄』に「長男」、「長女」を『株式数@』に「300」、「150」と記載する。


第三者が保有する株式:記載の必要なし

 業務主宰役員との血縁関係のない第三者は、業務主宰役員関連者などに該当しないため、『業務主宰役員及び業務主宰役員関連者等に関する事項』には何も記載することはない。
 事例では、第三者の山田太郎について、何も記載しない。
 なお、事例では、業務主宰役員とその親族等、親会社等で所有する株式数は、1,750(=800(財政一郎)+400(財政次子)+300(財政三郎)+150(財政四美)+100(株式会社△▲))で、自己株式を除く発行済株式総数は1,850であるから、業務主宰役員とその親族等の所有する持株等割合が94.6%(=1,750/1,850)、常務従事役員割合も表1より100%(=2/2)であることから、特殊支配同族会社に該当する。

           表1 ○□株式会社の発行済株式保有状況
氏名 保有株式数 肩書 代表者との関係 常務従事役員の状況
財政一郎 800 代表取締役社長 本人 常務従事役員
財政次子 400 専務取締役 常務従事役員
財政三郎 300 別会社で勤務 長男
財政四美 150 一般社員 長女 常務従事役員以外
山田太郎 100 無職 第三者
株式会社△▲ 100
○□株式会社 150
発行済株式総数 2,000



(以上参考;週刊「税務通信」第2955号)
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