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                                               2007年3月05日

資本剰余金減少による資本の払戻しがあった場合の
確定申告は


国税庁 資産課税情報で特定口座株式の譲渡所得・取得価額調整の計算令   

  国税庁はこのたびの資産課税課情報で「個人株主に対して資本の払戻し(資本剰余金の額の減少)があった場合における株式等に係る譲渡所得等の金額、取得価額の調整等について(情報)」(資産課税課情報第5号、平成19年1月31日)を公表した。
 上場会社でこれに該当する資本の払戻しはまだ数社程度のようで、18年分所得税の確定申告で対応が必要となるケースは少ないとみられるが、特定口座で保管している上場株式についても、資本剰余金の減少を原資とする金銭の交付を受けた場合、発行会社からの通知により株主自らが譲渡所得の計算・申告をする必要が生じてくる場合があるので留意しておきたい。
 情報では、資本の払戻しの基準日からその効力発生日の間の同一銘柄の取得・譲渡の状況によって7通りのパターンを設定し、譲渡所得金額の計算と取得価額調整の仕方を説明している。


株式譲渡の収入金額とみなされる資本の払戻し

 会社法の制定に伴う平成18年度の所得税関係の改正では、配当所得、株式等を取得する権利の価額、有価証券の取得価額・評価額の計算、株式交換等のほか、措置法における株式等譲渡益課税関係の改正も行われている。
 これに対応して、措置法通達をはじめとする譲渡所得関係の取扱いも見直されており、「『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』等の一部改正について」(課資3−12他・18年12月19日)では、措置法37条の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》等、所得税法33条《譲渡所得》関係、同57条の4《株式交換等に係る譲渡所得等の特例》関係などの整備が行われている。
 今回の資産課税課情報は、このうちの措置法37条の10《株式等に係る譲渡所得等の課税の特例》の取扱い通達である37の10−26《譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等−資本の払戻し当の場合》について、計算例で具体的に説明するものとなっている。


特定口座でも交付金銭の額等により確定申告必要に

 平成18年度改正により、資本剰余金を原資とする資本の払戻しで交付を受ける金銭等の額については、みなし配当として配当所得とされる金額を除き、株式等の譲渡所得に係る収入金額とみなされることになった(措置法37条の10B三)。そのため、資本剰余金の額の減少による資本の払戻しがあった場合には、株式等の譲渡所得として認識する必要があるということになるわけだ。
 上場株式を特定口座で保管している場合、資本の払戻しによる金銭の交付は、直接株主に行われることから、口座を管理する証券会社では譲渡損益の計算に反映させることができない。そのため、交付金銭で株式譲渡による収入金額とみなされる金額は特定口座内での譲渡による収入金額にはあたらないので、一般口座での株式等の譲渡収入となるとされている。
 したがって、払戻しがあった後のその株式の取得価額の調整は証券会社が行うものの、払戻しについては、株主が発行会社からの通知で取得価額を計算し、一般口座での株式等に係る譲渡所得の収入金額として損益を計算し、確定申告を行う必要が生じてくる。
 源泉徴収ありで申告不要の特定口座ひとつだけで取引をしている給与所得者(給与収入金額2,000万円以下)で、給与以外に所得はなく、払戻しによる所得金額の合計額が20万円以下である場合には確定申告の必要はない。譲渡所得の額や資本の払戻しの基準日がいつかを確認し、該当するものがある場合には申告が必要となるので留意しておきたい。



(以上参考;週刊「税務通信」第2957号)
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