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2007年3月19日
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信託の会計処理案を3月中に公表へ
ASBJ 現行ルールを踏まえ実務対応報告
企業会計準備委員会(ASBJ)は3月中にも「信託の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」を実務対応報告公開草案として公表する意向だ。昨年12月公布の信託法(以下、新信託法)により事業信託や自己信託など新たな形態の信託が導入されたことから、「特別目的会社・信託専門委員会」において、これらに対応する会計処理を検討してきている。
その中間報告(たたき台)が2月20日開催の第123回委員会で明らかにされた。それは現行ルールを踏まえ、基本的な信託の会計処理と、事業信託や自己信託など新たな信託の会計処理をQ&A形式で示している。
現行ルールに基づきタイプ別に整理
公表予定の実務対応報告(案)は、金融商品会計基準や金融商品実務指針など既存のルールを踏まえてまとめられる。これは、@信託が財産管理の制度であり、新信託法においても特定された財産(信託財産)が制度の中心であること、A既存のルールを根本的に変えると実務が混乱すること、による。
実務対応報告(案)で取扱う信託は自益信託を前提としていることから、信託財産を実務の観点から4分類したうえで、現行ルールに基づきそれぞれの会計処理を整理(Q1〜4)。それらをベースに新たな信託の会計処理(Q5〜7)を説明している。
<実務対応報告案(Q&A)の構成> |
Q1 |
単独運用の金融の信託における委託者及び受託者の会計処理 |
Q2 |
合同運用の金銭信託における委託者および受益者の会計処理 |
Q3 |
委託者及び当初の受益者が単数である金銭以外の信託における受託者及び受益者の会計処理 |
Q4 |
委託者及び当初の受益者が複数である金銭以外の信託における委託者及び受益者の会計処理 |
Q5 |
事業の信託における委託者及び受益者の会計処理 |
Q6 |
受益者の定めのない信託(いわゆる目的信託)における委託者の会計処理 |
Q7 |
自己信託における委託者及び受益者の会計処理 |
Q8 |
受託者の会計処理 |
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事業信託における委託者および受益者の処理
上記のうち、Q5の事業信託の一部を紹介すると、次の通りである。
(1)委託者及び当初の受益者が単数である金銭以外の信託として行う場合(原則的な取扱い)
委託者および当初の受益者は、信託設定時に特段の会計処理をしない。また、受益者は、信託財産を直接保有する場合と同様の会計処理を行う。当該受益権を売却した場合、当該事業を直接移転したものとみて売却処理の要否を判断する。期末時には、信託財産のうち持分割合に相当する部分を資産および負債として計上し、直接保有する場合と同様に、会計処理する。
(2)委託者および当初の受益者が複数である金銭以外の信託として行う場合
各受益者および当初の各受益者は、会社に準ずる事業体とみなされる信託に対し、それぞれの事業を移転し受益権を受け取ることとなり、共同新設分割における分離元企業の会計処理に準じて行う。
(以上参考;週刊「経営財務」第2809号)
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